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幕間 将棋にポジショナル・プレーを導入~鷹富士システムの謎に迫る~


桃井あずき「大盤がチェス盤じゃなくて将棋盤だから戸惑ったヒトもいるかな?イタズラ大作戦……ってわけじゃないんだ」

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芳乃「年末に、こんな対局がありましたー」

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あずき「国際交流かな?」

 

おぜう様七番勝負 第5局 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「驚きの初手左香から、まさかの右金。この一見して今までの常識にないような手の組み合わせから始まる『鷹富士システム』について、今日は考えてみようかなって」

 

芳乃「特別企画でしてー」

 

あずき「鷹富士システム、とはチェスに学びと気付きを得た鷹富士茄子さんが、チェスのポジショナル・プレーの概念を将棋に導入しようとして作った将棋のシステムのことを、あずきたちが便宜的にそう呼んでるモノだよー!」

 

芳乃「ちぇす、と将棋の違いはいくつかあるのですがー、『ちぇすは将棋と比べ駒が少ない』、ということは大きいと思うのでー」

 

あずき「ほかに『盤外に除かれた駒の打ち直しができない』っていうのも大きいよねー」

 

芳乃「つまりはー、『ちぇすの方が、一手一手に於ける駒の価値を重んじる傾向がある』ということもできましょうー」

 

あずき「チェスと将棋の一手の定義は厳密には違うけど、プレイヤーが一度駒を動かす動作、ってことだよね」

 

芳乃「その通りでー」

 

あずき「チェスでは駒数も少ないし取った駒は打ち直せない。だから、駒の働きや価値を局面ごとに最大化しようとするわけだけど……」

 

芳乃「その局面で働きを良くしようというのは当然ながらー、ある局面での駒はー、後々の局面でも働きよく使えるように繋ぐように働いていないというのもまた求められることでしてー」

 

あずき「鷹富士システムは、そんな狙いに基づいて茄子さんが研究してたシステムだよ!駒数がチェスより多く、打ち直しもできる将棋で、一手一手の働きと価値を最大化するような手を指せたら……チェスを知った茄子さんがそう思うのはわかるような気がするよね」

 

芳乃「今日はすぺしゃるな企画としてー、『将棋でちぇすをする』鷹富士しすてむをー、わたくしとあずきさんとでー、解説していくのでー」

 

あずき「茄子さんが『鷹富士システム』に行きつくまでの試行錯誤を、実戦譜を用いながら時系列的に辿っていくよ!チェス、将棋、どちらのプレイヤーにとっても、考え方として参考になるところはあるんじゃないかなっ」

 

1.鷹富士流のアイデア

 

芳乃「実際の対局を紹介しながらー、解説をつけていくのはー、鈴木英春先生の『英春流』の本にひんとをいただいたのでしてー」

 

あずき「英春流は対四間飛車かまいたち戦法、対振り飛車に右四間飛車をベースに、相居飛車なら菊水矢倉を目指して……っていう総合戦法だよ。禅にインスパイアされた英春先生が、ひとつ覚えればどんな相手にでも対応できるもの、として考えたんだって!」

 

芳乃「とするとー、どんな相手にも対応するというのを目指したという点でー、『鷹富士しすてむ』は『英春流』のようなものかもしれませぬー」

 

あずき「最初に、茄子さんが駒の働きを純化しようと考え始めた頃の対局をいくつか紹介・解説するよ!まずはやっぱり、これかなぁ」

 

・後手番 対矢倉・居角左美濃急戦

 

後手番 対矢倉・居角左美濃急戦 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「『居角左美濃』や『左美濃急戦』と呼ばれる戦法を茄子さんが採用したこのゲームだよー。『居角左美濃』はコンピュータ・ソフトを用いての研究で若手が練って実戦投入し、華々しい成果を上げて注目されるようになったっていう背景があってね」

 

芳乃「この対局ですねー」

 

 

芳乃「森内先生はー、今や永世七冠となられた羽生善治先生に先駆けて永世名人の資格を獲得された名棋士でしてー。矢倉の名手である森内先生の矢倉が左美濃急戦によって粉砕されたのは観る者に大きないんぱくとを与えましたー」

 

▲7六歩△8四歩▲6八銀

 

あずき「先手番は、『小細工なしの居飛車党』を自称する村上巴ちゃん!」

 

芳乃「これは今(2018年2月)からちょうど一年ほど前でしてー。その半年ほど後から大人気になる『雁木ぶーむ』の前ということもありー、この一年ほどの速い流れを思いますー」

 

あずき「雁木ブームも凄かったよねぇ。『矢倉は終わったと思います』なんて言っちゃうプロが出てきたりさ。雁木もそうだけど、「飛先を切られても効率で差をつける」という概念が根っこにあるのかな。そういう意味で、雁木、居角左美濃、そして鷹富士システムは似てるところも結構多い気がするんだー」

 

芳乃「斎藤先生の左美濃の本は良い本だと思いまするー」

 

△3四歩▲6六歩△6二銀▲5六歩△6四歩▲4八銀△5二金右▲7八金△4二玉▲6九玉△3二銀▲5八金△6三銀▲6七金右△3一玉▲2六歩△8五歩▲7七銀△7四歩▲2五歩△7三桂▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛

 

あずき「飛先を切られるのが嫌なように見えるけど、手番が来る方が大きいと見たんだろうね。この後、居角左美濃もどんどん駒組や仕掛けの手順が洗練されていくっていうのもあるけど、今見るとお互いちょっとラフな駒組や仕掛けだなぁって思ったり」

 

芳乃「この企画は左美濃急戦の仕掛けについての紹介ではなくー、鷹富士流についてなのでー、枝葉末節かと思われますがー」

 

あずき「そうだねっ。……ところで、『3四歩』みたいに本では数字と漢字を組み合わせて表記されるのを見るけど、『34歩』みたいに書く人もいるよね?これってどっちが正しいとかあるのかな?」

 

芳乃「将棋連盟は数字表記を採用しておりまするー。記録係の取る寄付なども算用数字で書かれているのでー、おそらくは数字と漢字を混ぜることで読む人にとって読みやすい工夫なのかとー」

 

あずき「なるほどねー」

 

△6五歩▲5七銀△6六歩▲同銀右△6四銀▲7九玉△1四歩▲9六歩△9四歩▲1六歩△8四飛▲3六歩△4四角▲6八銀△7五歩▲同歩△8六歩▲同歩△6五歩▲5五銀△同銀▲同歩△8六飛▲8七歩△3六飛▲3七銀△3五飛▲3六歩△5五飛▲4六銀△5四飛▲4四角△同歩▲8二角△6六歩▲5七金△6五桂▲5八金△同飛成▲同飛△7七歩▲同桂△6七銀▲5九歩△5八銀成▲同歩△7七桂成▲同銀△6七金▲6八歩△5九飛▲6九桂△7八金▲同玉△5六角▲6七銀△同歩成▲同歩△5八飛成▲6八金△6七角成▲8八玉△8五桂 まで92手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「茄子さんの終盤の殴り方とかは観てみてほしいけど、紹介するものがいっぱいあるから、サクサクいくよっ」

 

・先手番 鷹富士流端玉銀冠

 

先手番 鷹富士流端玉銀冠 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「さて、鷹富士流の紹介だねー」

 

芳乃「鷹富士流には鷹富士流相掛かりや鷹富士流端玉銀冠などありますがー、特に対振り飛車穴熊に茄子さんが連採した鷹富士流端玉銀冠を紹介しますー」

 

あずき「これはエイプリルフール企画で柚ちゃんが自身で解説したのもあったよね!まさかアレがチェスに基づいた考え方で、こうやってまとめて紹介する伏線になっていたなんて!」

 


芳乃「しらじらしいこと山のごとし、でしてー」

 

▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩

 

あずき「先手が茄子さん、後手は芳乃さんだよー」

 

芳乃「この進行での角交換は千葉流でしてー」

 

△3二銀▲4八銀△4二飛

 

あずき「芳乃さんは四間飛車が得意な振り飛車党だよ!このとき(2017 年 3 月)は流行全盛の角道オープン四間飛車が猛威だったねー」

 

芳乃「振り飛車党がわたくしかー、周子殿くらいしかいないのでー」

 

▲5八金右△6二玉▲6八玉△7二玉▲7八玉△8二玉

 

芳乃「振り飛車穴熊を見せまするー。ところでいつから対振り持久とは居飛穴を指すようになったのでしょうー」

 

あずき「天守閣美濃が藤井システムにやられてからかな?」

 

芳乃「いつの間にか玉頭位取りは居飛穴に、居飛穴は天守閣に、そしてまた居飛穴に……堅き城は人の求める常なのでー」

 

▲8六歩△9二香▲5六歩△9一玉▲5七銀△8二銀▲6六歩

 

あずき「後々また触れると思うけど、茄子さんもこの頃は角道を止めてたんだねー」

 

芳乃「居飛車音無しの構え、なんてものも世にはありまするー。持久に組み止めるまでは角交換から動かれたくない、という心情もわかるものでー、ゆえに角交換も辞さない鷹富士しすてむは厄介なものでしょうー」

 

△4四歩▲8七玉△4三銀▲7八銀

 

芳乃「角交換をしない鷹富士流対振りなら、天守閣美濃から端玉銀冠が狙いの流れになりますー」

 

あずき「穴熊に堅さで負けそうなものだけどね」

 

芳乃「穴熊は堅いですがー、玉の退路がないので『ばらんす』に欠けますー。そこが鷹富士流の狙いかとー」

 

あずき「詳しいねー」

 

芳乃「何度もしてやられたのでー」

 

△5二金左▲9六歩△9四歩

 

あずき「端歩って難しいよね。チェスとはまた違う意味で」

 

芳乃「現代将棋の肝、でしてー」

 

あずき「現代将棋といえば、実は振り穴に端玉銀冠、流行らないかなぁって茄子さんはこのころからずっと言ってたんだけどね。やっぱり半年くらいすると、女流タイトルで加藤女王が採用するようになるんだよね!」

 

芳乃「堅さを持った玉頭位取りができるならー、それは居飛車の腕が鳴るでしょうー」

 

▲9八玉△6四歩▲8七銀△7四歩▲7八金△6三金▲6七金右

 

あずき「これは居飛車としては、せっかく角道を止めたので、▲6八金右ではなくこちらで高く構えて見せようってことなのかな?」

 

芳乃「いかにもー。先手としては△7二飛から攻めてくるのが見えていますがー、それで上等と観ているところが振り飛車への嫌味なのでー」

 

△7二飛▲6八銀△7五歩▲同歩△同飛▲7七銀△7二飛▲7九角△5四銀▲5五歩△4三銀▲8五歩△2二飛▲7六銀直

 

芳乃「▲8五歩、で、振り穴の急所、8筋の位を取られましたねー」

 

あずき「こんなもので振り穴が潰れてしまうというのは怖いよねー」

 

芳乃「将棋は菱形を作ったら大体の場合は勝ち、と有名な棋士も言ってますしー」

 

あずき「そうなんだ」

 

芳乃「嘘でしてー」

 

△5二銀▲6八角△7四金▲7五歩△7三金▲2六飛

 

芳乃「茄子さんはー、手の作りづらい局面で飛車を浮くのが好きな気がしますー」

 

あずき「それもチェスから得た発想かな?将棋では手が詰まってるようなところでも、チェスではルークを浮くのが自然な局面って結構ある気がするし」

 

△4五歩▲3六飛△4三銀▲4六歩△2四歩▲4五歩△2五歩▲4四歩△同角▲4六飛△3三桂▲7七角

 

あずき「5筋、8筋の位を活かして攻めようって魂胆だね」

 

芳乃「位取りの重みはちぇす・ぷれいやーの方が身に沁みてわかっているやもしれませぬー」

 

△4五歩▲3六飛△2六歩▲6五歩△2七歩成▲6四歩△同金▲8四歩△同歩▲5四歩△7七角成▲同金寄△5四金▲6六飛△6四歩▲5五歩△6五歩▲5四歩△6六歩▲8三歩 まで 87 手で先手・鷹富士の勝ち

 

芳乃「見えている地点が違いすぎたのでー」

 

・後手番 鷹富士システムの母型

 

後手番 鷹富士システムの母型 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「次の対局は……先手は紗枝さんだね!これは2017年4月……っていうと、ポナンザと佐藤天彦名人の対局があった頃かな?」

 

芳乃「初手▲3八金、は瞠目だったのでー。すべての駒の価値と効率を学び直せ、というような機械の手にー、茄子さんもまた、挑発された一人だったかもしれませぬー」

 

▲7六歩△8四歩▲7八金△7二金▲7七角△3四歩▲8八銀△3二金▲6九玉△6二銀▲4八銀△5二玉

 

あずき「鷹富士システム中住まい型、っていうのがあったけど、そのアイデアの発端みたいなゲームだよね」

 

芳乃「すべての戦型はそうですがー、記念すべき第一号局というのは得てしてあとに洗練されていく概念を物差しにみるといろいろと粗いものなのでー」

 

▲4六歩△7四歩▲4七銀△6四歩▲5八金△7三桂

 

あずき「右の桂馬がずいぶん早いよね」

 

芳乃「後々のしすてむの攻め方に結実しますがー、これは6筋から速攻する順の他にー、8筋にぽんと跳ねー、相手がそれを取り切るのに躍起になっているうちに6六の地点当たりに拠点を築く方が勝るという理念でしょうー。急所の歩二枚と囲わない側の桂馬を交換し拠点ができるならー、歩二枚の方が勝るかも、というのは現代将棋の問いかけでしてー」

 

あずき「相手の立ち上がりが遅ければ本譜みたいに両桂跳ねて5筋殺到をみせるっていうのもあるよね。桂馬を犠牲に拠点を……っていうとチェスでいうハロウィン・ギャンビットみたいな感じかなぁ。文香さんは鬼殺しみたい、って言ってたけど、あずきはハロウィン・ギャンビットは寧ろ角換わり桂ポンとか、そういう風に見えるなぁ」

 

 

▲5九角△6三銀▲3六銀△4二銀▲4五銀△3三銀▲6六歩△4四銀▲同銀△同角

 

芳乃「茄子さんの将棋は、金属のぶつかる音がよくするのでしてー」

 

あずき「火花も見えるよね」

 

芳乃「ちょっとなにいってるかわかんないのでしてー」

 

あずき「なんでよ!」

 

▲6七金右△9四歩▲7七銀△8一飛▲2六歩△9五歩▲7九玉△5四銀▲5六銀△3三桂▲3六歩△5五銀打▲同銀△同角▲4七銀△6一飛

 

あずき「浮き飛車と引き飛車を場合によって使いこなすのって、まんまチェスのルークの使い方だね!」

 

芳乃「鷹富士しすてむで飛車を引く場合はー、地下鉄飛車と右四間の二つの狙いを受けねばならなくなるのでー」

 

あずき「それもあっての桂馬の活用を急ぐってことかな。チェスだとナイトはポーンの次に戦陣に送り込まれるものだし」

 

▲3七角△6五歩▲同歩△同桂▲6六歩△7七桂成▲同金上△6五歩▲7八桂△6六歩▲同金直△4四角▲5六銀△6五歩▲6七金引△5五銀打▲1六歩△5六銀▲同歩△7七角成▲同桂△4七金▲4五歩△3七金▲同桂△4六角▲6八歩△3七角成▲1八飛△3六馬▲3八飛△3七銀▲3九飛△4八銀打▲2九飛△3八銀成 まで 80 手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「エンドゲームの手筋……!」

 

2.鷹富士流の真髄

 

・後手番 鷹富士流相掛かり

 

後手番 鷹富士流相掛かり | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「この先手は巴ちゃんだね」

 

▲7六歩△7二金

 

あずき「うわー」

 

芳乃「このあたりでー、すべての定跡を疑ってかかろうという強い姿勢を感じますー」

 

あずき「単にいきなり飛先を突く手が、相手の応手次第で損にもなるかも……ってことだよね。序盤に損にならない、っていうか、ならないと思われる手をなるべく序盤から積み重ねよう、っていうのが鷹富士システムの正体なのかも。ルイ・ロペスとかイタリアン・ゲームみたいな。ふたつとも、穂乃香ちゃんが解説してたはず!」

 


▲2六歩△3二金▲2五歩△8四歩▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩

 

あずき「飛先の歩を切って、効率的に損になるかも、っていうのは居飛車党誰もし、考えたくなかったよね。『飛車先の歩交換、三つの得あり』……なんて格言もあるくらいだし。将棋のルールを覚えたチェスのグランドマスターも、飛車先の歩を切って引ければ良形、っていってくらいだもん」

 

芳乃「この状況を、雁木の開祖・檜垣是安殿は面白がっていることでしょうー」

 

▲2八飛△3四歩▲7八金△8五歩▲7七角△同角成▲同金△2二銀▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲8八銀△7六飛▲7七桂△5二玉

 

あずき「横歩取り青野流みたいだよね」

  

芳乃「茄子さんはー、飛先の歩を交換した勢いで横歩を抜くのは価値が高い手だと信じているのでしょうー」

 

あずき「問題はこの手の活かし方で、最速でそれを目指すから横歩取りは対策され難しいのかもね」

 

▲9六歩△3三銀▲9五歩△8六飛▲6八玉△7四歩▲8七銀△8二飛▲4六角△6四歩▲同角△7三桂▲8五歩△6三金

 

芳乃「この 7三(3七)桂+6三(4七)金という形を非常な好形とするのこそ、鷹富士しすてむの真髄なのでー。飛車も引けたら尚よしー、これを目指すためー、そして右銀の進路の妨げとならない手こそ初手7八金なのではないかと思うのでー」

 

▲4六角△8一飛▲7六銀△5四角▲8七銀△7五歩 まで 46手で後手・鷹富士の勝ち

 

・後手番 鷹富士流天守閣美濃 対7八飛戦法

 

後手番 鷹富士流天守閣美濃 対7八飛戦法 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

▲7八飛△8四歩▲7六歩△8五歩▲7七角△6二銀▲4八玉△3四歩▲3八玉△4二玉▲2八玉△3二玉▲6八銀△5二金右▲8八飛△5四歩▲3八銀△5三銀▲7八金

 

あずき「柚ちゃんが『腹が減ったらカレーメシ』ってやってたけど、『急戦向かい飛車にも対振り持久』って感じかな」

 

芳乃「この対局はー、とあるばらえてぃの企画でしてー。先手でいきなり三間に振ったのはー、他の事務所のあいどるでしたねー」

 

あずき「ブラウンがイメージカラーのね!太眉かわいいよね!」

 

△2四歩▲6六歩△2三玉▲6七銀△3二銀▲8六歩△同歩▲同角△1四歩▲6八角△8七歩▲同金△6四歩▲8六歩△6五歩▲同歩△8八角成▲同金△5五歩▲7七角△4四歩▲7八金△1五歩▲7五歩△8四飛

 

あずき「おわかりいただけだだろうか……」

 

芳乃「もう後手は手順に5筋の位と浮き飛車を手にしているのであるー……」

 

あずき「端玉銀冠まで入れなくても、天守閣美濃で戦える、ってとこだね」

 

▲7九金△2二玉▲7六銀△4三金▲8五歩△8二飛▲5五角△5四銀▲7七角△6二飛▲7一角△4二飛▲5六歩△5一飛▲6四歩△7一飛▲5五歩△4五銀▲6三歩成△7四歩▲同歩△同飛▲7五歩△7一飛▲6八金△5六歩▲6六角△8二飛▲6七金△3三桂▲7七桂△3五歩

 

あずき「結局玉頭の位を取りに行くんだね」

 

芳乃「鷹富士流はー、対穴熊なら 2(8)筋、対美濃なら 3(7)筋ということでー。簡単でしょー?」

 

▲6五桂△5一飛▲7四歩△2五桂▲2六歩△3七桂成▲同桂△3四銀▲2七銀△1四角▲2五歩△同歩▲5三と△3三金▲3八金△3六歩▲2五桂△同角▲4六桂△3五桂▲2六歩△2七桂成▲同金△3七銀▲2九玉△4六銀成▲同歩△3五桂▲2八金△2七歩▲3八金△3七歩成▲2五歩△4七桂成▲3九金△3八歩 まで 112 手で後手・鷹富士の勝ち


・先手番 鷹富士流天守閣美濃 対中飛車

 

先手番 鷹富士流天守閣美濃 対中飛車 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4二銀▲4八銀△5四歩▲5六歩△4四歩▲5八金右△5二飛▲6八玉△6二玉▲5七銀△7二玉▲7八玉△5三銀▲8六歩△6四銀▲8七玉△5五歩▲同歩△同銀▲7八銀

 

あずき「引き続き茄子さんの天守閣美濃を見ていくよー」

 

芳乃「後手で中飛車を持つのはー、周子殿でー」

 

△5六歩▲6八銀△8二玉▲2四歩△同歩

 

あずき「脱税だね」

 

芳乃「ろまん、でしてー」

 

▲2二歩△同角▲2四飛△3二金▲2二飛成△同金▲4三角

 

あずき「後手から2五飛~2九飛成の攻めが見えてる分、怖い順だよね」

 

△2五飛▲5三歩△5一飛▲3四角成△2九飛成▲5五角△9五桂▲7七玉△1九竜▲9六歩△5四香▲4六角△4五歩▲同馬△5七歩成▲同銀△同香成▲同金△3三桂▲5五馬△6四銀▲6六馬△4五歩▲6四角△同歩▲9五歩

 

あずき「味良い二枚替えだねー」

 

芳乃「自分が持つと馬より竜の方が頼りがいがあるように思えるものですがー……局面の収め方がー、名奉行なのでー」

 

△7二金▲5六香△6五歩▲4四馬△4一飛▲5四馬△5五歩▲5二歩成△5六歩▲同金△5九角▲8七玉△8四香▲7七銀打△同角成▲同玉△8六香▲6四桂△8七銀▲7二桂成△同銀▲6二銀△7八銀成▲同玉△8七香成▲同玉△6九竜▲7一銀打△同飛▲同銀不成△同玉▲7二馬△同玉▲6一銀△6三玉▲5三金△7四玉▲6三角△6四玉▲5四金 まで 103手で先手・鷹富士の勝ち

 

・後手番 相掛かり△8五飛戦法

 

後手番 相掛かり△8五飛戦法 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「本譜は鷹富士流の相掛かりだよ!先手を持つのは紗枝さんだね」

 

芳乃「羽衣小町の攻める方、でしてー」

 

▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲7八金△3二金

 

あずき「茄子さん、一時期はこうやって相居飛車には相掛かり誘導してたのに、システム完成後は指さなくなったよね」

 

芳乃「相掛かりがあるからこそー、初手に飛車先を突くことを辞めたともとれましてー」

 

▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△9四歩▲3八銀△9五歩▲2七銀

 

あずき「小早川の相掛かり棒銀だ」

 

芳乃「9筋の位を取るのはプロにもある発想でしてー」

 

△3四歩▲2六銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8五飛▲7六歩△8六歩

 

あずき「8五に引いたのに歩を打って横歩取りを志向するんだから、面白いよね」

 

芳乃「手損より効率を重んじるのもー、またちぇすっぽいのでー」

 

あずき「この局面だけ見れば、角交換から▲8五角と打ってみたいけどねー」

 

芳乃「彼女は見えているものが違うのでしょうー」

 

▲8六同歩△同飛▲8七歩△7六飛▲2二角成△同銀▲8五角△7八飛成▲同銀△7二銀▲7七銀△7五金▲7六角△4四角▲6六歩△7六金▲同銀△6六角

 

芳乃「すぐに△7六同金と角を取り切ってしまわないのが大切なのでー」

 

あずき「茄子さん、横歩を抜く手を重く見てるんだから横歩取り指せばいいのにね、って思うんだけどなぁ」

 

芳乃「横歩取り先手番ではー、△4四角戦法に気に掛かるものがあるとかでー」

 

あずき「あ、そうなんだね」

 

▲9八香△9九角成▲2五銀△8九馬▲2四歩△同歩▲同銀△2三歩▲同銀成△同銀▲2四歩△1四銀▲2三金△3一金▲1六歩△6二玉▲1五歩△2七歩▲同飛△2三銀▲同歩成△3五桂 まで 64 手で後手・鷹富士の勝ち

 

芳乃「これが△2七歩と叩いて飛車を吊った効果になっているのでー」

 

あずき「求められるのはいつも、高い精度の基本だね」

 

3.鷹富士流対振りの完成と初手の模索

 

・先手番 鷹富士システム初手▲3八金型 対中飛車

 

先手番 鷹富士システム初手▲3八金型 対中飛車 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

▲3八金△3四歩▲7八金△5二飛▲5八玉△5四歩▲2六歩△5五歩▲4八銀△4二銀▲2五歩△3三角▲7六歩△5三銀▲9六歩△5四銀

 

あずき「中飛車側に好形を許したように見えるよね」

 

芳乃「居飛車側の好形がそれを上回ればよいだけの話でー」

 

▲4六歩△3二金▲6八銀△6二玉▲6六歩△7二玉▲3六歩△6四歩▲9五歩△8二玉▲6七銀△7二銀▲4七銀△6三銀上▲3七桂△7四歩▲2九飛△7三桂▲9七角△7二金▲7五歩△同歩▲同角△7四歩▲8六角△5一飛▲7七桂

 

あずき「中飛車に対し中住まい」

 

芳乃「両の桂馬を跳ねているのでばらんすはとれてますよー」

 

あずき「鷹富士システムのことを『勝てるアヒル』って言ってた人がいたよね……」

 

△4四歩▲7六銀△4二角▲6七金△6一飛▲8五桂△8四歩▲7三桂成△同玉▲5六歩△同歩▲同銀△5一飛▲7九飛△3五歩▲5五歩△同銀▲同銀△同飛▲5六歩△5一飛▲5五桂△5四銀▲3五歩△8三桂▲6五歩△7五銀▲同銀△同桂▲同角△同歩▲7四歩△6二玉▲7三銀△同金▲同歩成△同玉▲7四金△同玉▲6六桂△7三玉▲7四銀△6二玉▲5四桂△同飛▲6三銀不成△5一玉▲5四銀成△3六角▲4七金△5四角▲6三銀△2七角成▲7一飛△6一桂▲7二飛成△4一玉▲6一竜△5一歩▲5二銀不成△3一玉▲3四桂△3八銀▲4三桂不成△同金▲同銀成△4七銀成▲同玉△3八銀▲5七玉 まで 113手で先手・鷹富士の勝ち

 

芳乃「将棋はー、堅さと広さのどちらに行き着くのでしょうー」

 

あずき「チェス・プレイヤーとしてのあずきは、広さに行きつくのが当然なようにも思うけどね」

 

・後手番 鷹富士流端玉銀冠 対向かい飛車+3七桂型銀冠

 

後手番 鷹富士流端玉銀冠 対向かい飛車+3七桂型銀冠 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

芳乃「お次は先手、周子殿の向かい飛車でしてー」

 

▲7六歩△8四歩▲6六歩△3四歩▲7八銀△8五歩▲7七角△6二銀▲6七銀△4二玉▲8八飛

 

あずき「振り飛車は実は高美濃や銀冠にするより、美濃で止めておいた方が飛車交換に強いと思うんだけど、どうなんだろ……ところで、最近の茄子さんはこの鷹富士流端玉銀冠すら指さないの、なんでだろ」

 

芳乃「平美濃に何か嫌なところがあったのかー、それとも単に『しすてむ』が優秀だからなのかー」

 

△5二金右▲4八玉△3二玉▲3八玉△5四歩▲2八玉△2四歩▲3八銀△2三玉▲1六歩△1四歩▲5八金左△3二銀

 

あずき「羽衣小町の受ける方」


▲4六歩△1二玉▲4七金△2三銀▲3六歩△3二金▲3七桂△4二金右▲5六歩△5三銀▲2六歩△7四歩▲2七銀△6四歩▲3八金△7三桂▲4五歩△8一飛▲9六歩△9四歩▲9八香△6五歩▲6八飛△4四歩▲同歩△同銀▲5八銀

 

芳乃「これはー、飛車の利きを通しながら左銀を囲いに近づけるー、大変価値の高い一手なのでー。こういう手が出ると振り飛車が勝つものですがー」

 

△8六歩▲同歩△7五歩▲6七銀△3五歩

 

あずき「銀を手損で動かさせ、相手のテンポを奪いに行く……これってどっちかっていうとチェスの攻めだよね。そしておまたせ3筋の位取り!」

 

芳乃「玉頭戦への備えですねー。ぽじしょなる・ぷれーといいますかー、位の取り方守り方ー、そして突き捨て方が鷹富士流の成否を握りますねー」

 

▲7五歩△6六歩▲7六銀△3六歩▲同銀△6一飛▲1五歩△同歩▲1四歩△同銀▲2五歩△4六歩▲4八金引△3五歩▲2七銀△2五歩▲2四歩△3三銀▲6六角△6五歩▲5七角△2四銀▲4六角△9九角成▲7三角成△8九馬▲4六馬△2三銀▲3六歩△3四桂▲4五馬△2六歩▲1八銀△3三桂▲3五馬△4七歩▲同金直△4六歩▲4八金引△3五銀▲同歩△3六歩▲3四歩△3七歩成

 

あずき「桂馬の取り合いは、これが王手。終盤の速度計算が楽、というのも端玉銀冠のメリットだよね」

 

芳乃「えんどげーむの計算を簡略化したいのもー、ちぇすの悲願ですからー」

 

あずき「4六歩~3五歩なんて驟雨のように突き刺さってるように見えるけど、これチェスの素養がある人なら『ポーン・ストーム』そのものだって気が付くんじゃないかな」

 

芳乃「ぽーん・すとーむができるのも、対振り鷹富士流の狙いのひとつなのでしてー」

 

▲3七同金左△1六桂▲3九玉△2五桂▲2六金△5七角▲4八飛△3七歩▲1三歩△同玉▲1四歩△同銀▲2五金△3八歩成▲同玉△4八角成▲同玉△4七金▲3九玉△3八歩▲2九玉△2八飛 まで122手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「ちなみに茄子さんは、『平美濃+向かい飛車なら鷹富士流では1手の差を埋められない』って謎の言葉を残しているのだけど……」

 

・後手番 鷹富士流居合抜き端玉銀冠 対角道オープン向かい飛車

 

後手番 鷹富士流居合抜き端玉銀冠 対角道オープン向かい飛車 | Shogi.io(将棋アイオー)


あずき「前項に引き続いて、周子さんの向かい飛車相手の端玉銀冠。本項は角道オープン型だよ。周子さんは向かい飛車好きだよね」

 

芳乃「対する居飛車の作戦はー、後に藤井聡太先生と村山慈明先生が『居合抜き超速』としてゴキ中への対策として広めるー、居飛車側から角道を開けないというものでしたー」

 

あずき「居飛車音無しの構え、みたいだよね」

 

▲7六歩△8四歩▲7七角△8五歩▲8八飛△6二銀▲6八銀△4二玉▲4八玉△5二金右▲3八玉△5四歩▲5六歩△3二玉▲2八玉△5三銀▲3八銀△2四歩▲5七銀△2三玉▲4六銀△3二銀▲1六歩△1二玉▲1五歩△2三銀▲3六歩△3二金▲2六歩△6四銀▲5八飛△6五銀▲7八金△7六銀▲5九角△3四歩

 

あずき「左銀で角頭を攻めてから、居飛車側は角道を通す……っと。左美濃急戦めいた構想だね」

 

芳乃「21手目▲4六銀ですがー、三間飛車などでも流行りの形でー。『三間飛車新時代』は面白く読ませてもらいましたー」


▲5五歩△同歩▲同銀△8六歩▲同歩△8八歩▲7七桂△8九歩成▲5六飛△8八と▲6八金△8七と▲8五桂△8六と

 

芳乃「8六歩と突き捨ててから8八歩と打つ、わーぷの手筋なのでー」

 

あずき「実戦で求められるのはいつも、高い精度の基本!」

 

芳乃「後手は理想形なのでー、と金の活用だけを考えていればよいとー」

 

▲7三桂成△同桂▲3七角△6五銀▲5八飛△7七と▲同金△5七歩▲同飛△4五桂▲5八飛△5七歩▲7八飛△3七桂成▲同桂△5五角▲6六金△同銀▲同歩△8七飛成▲7五飛△6六角▲7三飛成△5八歩成 まで 74手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「ポーンの使い方を将棋に輸入したら、叩きやらワープやら、一撃一撃が重い感じする」

 

・先手番 藤井システム

 

先手番 藤井システム | Shogi.io(将棋アイオー)

 

芳乃「これは今までの棋譜とはちょっと趣を異にするものでしてー」

 

あずき「茄子さんの藤井システムだもんね」

 

芳乃「なぜこれを鷹富士しすてむの解説に入れるかというとー、本譜は3七の地点を通って高美濃に組むのですがー、この発想が7七を通って居飛穴を目指すような『しすてむ』に繋がっていったと確信が持てるからなのでー」

 

▲7六歩△3四歩▲6六歩△6二銀▲6八飛△5四歩▲1六歩△1四歩▲7八銀△4二玉▲3八銀△3二玉▲4六歩△5二金右▲6七銀△8四歩▲7七角△8五歩▲3六歩△4二銀

 

芳乃「△4二銀で急戦調にー。次に△7四歩として速攻をみせたいものでー」

 

▲4八玉△7四歩▲5八金左△5三銀左▲3七玉

 

あずき「前述のはこれだね」

 

△5五歩▲2八玉△5四銀▲4七金△6四歩▲3七桂△7三桂▲5六歩△6五歩▲3五歩△同歩▲5五歩△同銀▲4五桂

 

芳乃「4四歩が目に見えているので危険に思えるのですがー、3三歩~6五歩とやる方が早いのでー。桂交換になれば振り飛車はそれもまた嬉しいのでー」


△4四歩▲3三歩△4三玉▲6五歩△6六歩▲同銀△同銀▲同飛△4五歩▲同歩△3三玉▲2六飛△3二玉▲3三歩△同角▲同角成△同桂▲3四歩△4三金▲4四銀△4五桂▲4三銀成△同玉▲2三飛成△5四玉▲6四金 まで 65手で先手・鷹富士の勝ち

 

・先手番 鷹富士流端玉銀冠 対四間飛車高美濃

 

先手番 鷹富士流端玉銀冠 対四間飛車高美濃 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲7六歩△3四歩▲2六歩△4四歩▲2五歩△3三角▲4八銀△3二銀▲6八玉△4二飛▲7八玉△5二金左▲5八金右△7二銀▲5六歩△9四歩▲9六歩△6二玉▲8六歩△7一玉▲5七銀△6四歩▲8七玉△6三金▲7八銀△7四歩▲9八玉△7三桂▲8七銀△8四歩▲7八金△8二玉▲6六銀

 

芳乃「お次は茄子さんとの自戦でしてー」

 

あずき「8四歩を突かれているので銀を4六でなくこちらに出て、角引きから7筋の位を取って攻める作戦に変更するってことだね」


△4五歩▲7九角△4三銀▲7五歩△6五歩▲7四歩△同金▲7七銀△5二銀▲5七角△8五歩▲同歩△9五歩▲同歩△8五桂▲8六銀右△9七歩▲同桂△同桂成▲同銀△8五桂▲8六銀左△7六歩▲6九桂△9五香▲9六歩△7七歩成▲同桂△同桂成▲同銀△8五桂▲8六銀右△9六香▲同銀△9七歩▲8九玉△7六歩▲7五香

 

あずき「カウンターをひとつ入れておくわけだ」


△7七歩成▲7四香△7八と▲同玉△9九角成▲8五銀左△6三銀左▲7三歩△8三銀▲9三金△7一玉▲8三金△7四銀▲同銀△6二玉▲5五桂△7六香▲8七玉 まで 89手で先手・鷹富士の勝ち

 

・先手番 鷹富士流端玉銀冠 対四間飛車△7三桂型銀冠

 

先手番 鷹富士流端玉銀冠 対四間飛車△7三桂型銀冠 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

あずき「これは珍しいカードの対戦!」

 

芳乃「後手で四間飛車を指しているのはー、菜々さんでしてー」


▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4四歩▲4八銀△3二銀▲6八玉△4二飛▲5八金右△9四歩▲9六歩△4三銀▲5六歩△6二玉▲5七銀△7二玉▲7八玉△8二玉▲8六歩△7二銀▲8七玉△6四歩▲7八銀△8四歩▲9八玉△8三銀▲8七銀△7二金▲7八金△7四歩▲3六歩△7三桂▲4六銀

 

芳乃「茄子さんはいろいろやったようですがー、端玉銀冠に組んだ後はこうやって4筋から出る形に落ち着いたようでー」

 

あずき「4五歩突かせて捌き合いに持ち込みたいってことかな。相手の形を見ながら、3六歩~3五歩を入れるかどうかは検討したいところ。ここまでは分かりやすいし組みやすいよね」

 

△6五歩▲3五歩△4五歩▲3三角成△同桂▲5五銀△9五歩▲同歩△8五歩▲同歩△5四歩▲6四銀△4四角▲3四歩△8五桂▲3三歩成△9七歩▲同桂△9五香▲9六歩△9七桂成▲同玉△9九角成▲4二と△8五桂▲8六玉△8四香▲8八桂△4二金▲9五歩△6六歩▲6五桂 まで 67手で先手・鷹富士の勝ち

 

あずき「菜々さんからこの対局を紹介するに当たってコメントを貰ってきたよ!……『入玉含みの上部開拓は、灘蓮照先生の灘流四段端玉を彷彿とさせますよねぇ!最近の、elmoちゃんでしたっけ、コンピュータ将棋などを見ていても、灘流四段端玉やカタツムリ戦法のように戦陣を押し上げていく技術が評価されているように思えるんです。今こそ学び直すべき古き善き棋書のひとつだと……え?!灘先生をご存じない?故・村山聖先生の師匠になったかもしれない名棋士じゃないですか……って、『聖の青春』で読んだんです!アハ、アハハハ……』だって」

 

・先手番 鷹富士流端玉銀冠 対四間飛車高美濃

 

先手番 鷹富士流端玉銀冠 対四間飛車高美濃 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲2六歩△3四歩▲2五歩△3三角▲7六歩△4二銀▲4八銀△4四歩▲6八玉△4三銀▲5八金右△4二飛▲7八玉△9四歩▲9六歩△7二銀▲5六歩△5二金左▲5七銀△6二玉▲8六歩△7一玉▲8七玉△8二玉▲7八銀△5四銀▲9八玉△6四歩▲8七銀△6三金▲7八金△7四歩▲3六歩△7三桂▲3五歩△同歩▲3八飛

 

あずき「この局面では銀を出る実例もあったはず」

 

芳乃「どちらにせよー、鷹富士流対振りでは『振り飛車の指す手を奪いながら居飛車の指す手が無くならない状態』を目指していくのが特長ですねー」

 

△6五桂▲6八銀△4五歩▲3三角成△同桂▲3五飛

 

あずき「この飛車の奔りは、三浦弘行先生が棋書も出している飛先不突右四間飛車の序中盤に似た概念だね」

 

芳乃「3五を取れれば居飛車が指しやすい、と本でも書いてありましたねー」

 

△4六歩▲3三飛成△4七歩成▲4二竜△5八と▲3一飛△7一金打▲7九銀△6九と▲8八銀△1五角▲4一竜△5九角成▲4六角△4五歩▲3五角△8四歩▲1一飛成

 

あずき「ここまで▲1一飛成を待っておくあたりが懐広いというか。△8四歩の瞬間に香車を抜くことで△8五歩には▲8四香があるんだね」

 

△8五歩▲8四香△7三玉▲8三桂△6二金右▲7一桂成△8六歩▲7二成桂△同金上▲9一竜△8七歩成▲同金△8二歩▲9三竜△8三桂▲同香成△同金▲7一竜 まで 79手で先手・鷹富士の勝ち

 

・先手番 鷹富士流超速端玉銀冠 対ゴキゲン中飛車

 

先手番 鷹富士流超速端玉銀冠 対ゴキゲン中飛車 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲7六歩△5四歩▲2六歩△3四歩▲2五歩△5二飛

 

芳乃「本局はー、周子殿のごきげん中飛車に対しての端玉銀冠なのでしてー」

 

▲4八銀△5五歩▲6八玉△3三角▲3六歩△6二玉▲3七銀△7二玉▲4六銀△8二玉▲7八玉△7二銀▲5八金右△3二金▲8六歩△9四歩▲8七玉△4二銀▲7八銀△1二香▲9六歩△5四飛▲9八玉△5三銀▲8七銀△4四銀▲7八金

 

あずき「結局、銀対抗で振り飛車が美濃に入ったような形になったね。右金を引き付けないで仕掛け始める形、というのをこの時期茄子さんは研究してたみたい」

 

△4二金▲3七桂△5二金寄▲1六歩△6四歩▲6六歩△7四歩▲7七角△6三金▲8八玉

 

芳乃「この一連の数手ではー、手待ちをしながらの端攻めと銀冠穴熊への組み換えを含みにしているのでー」

 

あずき「中飛車相手に▲7七角~▲8八玉って組み替えるのも茄子さんの実践例にまま見られる形だね」

 

芳乃「穴熊の堅さというのにはー、一定の評価を与えている所が鷹富士流でしてー」

 

△8四歩▲6七金右△7三桂▲9八香△8三銀▲4五銀△同銀▲同桂△5一角▲5九角△4四歩▲4三銀△4五歩▲5四銀成△同金▲3二飛△7二銀打▲1二飛成△6五歩▲同歩△5六歩▲同歩△3三角▲7七角△同角成▲同桂△6五桂▲同桂△6六歩▲同金△3九角▲6八飛△5七銀▲6九香△6八銀成▲同香△6九飛▲7三角△9二玉▲9五歩△6六角成▲同香△8九金▲7七玉△6五金▲9三銀△同玉▲8二角打 まで 91手で先手・鷹富士の勝ち

 

・後手番 鷹富士流端玉銀冠 対先手中飛車穴熊

 

後手番 鷹富士流端玉銀冠 対先手中飛車穴熊 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲5六歩△8四歩

 

芳乃「本項ではー、前項に引き続いての中飛車を相手取る鷹富士流対振りを紹介するのでしてー」

 

あずき「茄子さんは、先手中飛車の▲5六歩を見た時だけ△3四歩~△3五歩と石田流を指す印象があるんだけどなぁ」

 

▲7六歩△3四歩▲5五歩△8五歩▲7七角△6二銀▲5八飛△4二玉▲6八銀△5二金右▲4八玉△3二玉▲3八玉△4四歩▲2八玉△4三金

 

芳乃「△4四歩~△4三金が先手中飛車へのちょっとした工夫なのでしょー」

 

▲1八香△2四歩▲1九玉△2三玉▲2八銀△3二銀▲3九金△1四歩▲5七銀△1二玉▲4六銀△2三銀▲3六歩△3二金▲3五歩△同歩▲同銀△2五歩▲6八角△1三角▲5六飛△2二玉

 

あずき「本局は△1三角~△2二玉、と玉をスイッチバックしたね。穴熊への組み換えが生まれるので手損でも指せる、という訳なんだけど……穴熊側からパンツを跳ねて速攻してきたらどうなのかな?」

 

芳乃「黙って銀冠穴熊へ組み替えられるのを見ているのも癪なものでー、一度はやってみたく思うことでしょー」

 

▲3七桂△8六歩▲2五桂△3五角▲同角△2四歩▲3三歩△4二金寄▲5四歩△同歩▲6一角△2五歩▲4四角△同金 まで 54手で後手・鷹富士の勝ち

 

・箸休め 後手番石田流 相振り飛車・先手中飛車中飛車穴熊破り

 

箸休め 後手番石田流 相振り飛車・先手中飛車~左穴熊破り | Shogi.io(将棋アイオー)

 

芳乃「居飛車党の茄子さんが唯一振り飛車を指す場合がありましてー」

 

あずき「それが、前項で言った対先手中飛車三間飛車だよね。本譜は箸休め的に、茄子さんが石田流で周子さんの中飛車穴熊フルボッコにした芸術的な棋譜を紹介するよー」

 

芳乃「ここまで左桂が綺麗に捌けるなら石田流ほど強いものもない、そんな棋譜でしてー」

 

あずき「中飛車穴熊の登場によって、先手中飛車は相振り飛車になっても互角以上に戦える――そんなことがささやかれてたりしたりしなかったりするみたいだけど、本当なのかな」

 

▲5六歩△3四歩▲5八飛△3五歩▲5五歩△1四歩▲7六歩△3二飛▲6八玉△6二玉▲7八玉△4二銀▲7七角△7二玉▲8八玉△3四飛▲7八金△8二玉▲9八香△7二銀▲9九玉△9四歩▲5六飛△3一金

 

芳乃「この序盤には茄子さんの相当な研究が見受けられまして―。菅井王位が提唱しだしたようにー、中飛車側は、三間飛車が動いて来ない限り右の金銀は動かさず穴熊の完成を急いで良い、というのも一理あるのですがー、三間飛車側は後手なので先手の右銀が動くまでこちらも動かなくてよいというのもまた言われてみれば当然のことなのでしてー」

 

あずき「この△3一金が凝っているというか、なんというか。片美濃に囲い、△3一金と様子を見るのが良い……ね。角の引き場所を作る△3二金の方がよさそうに、或いは急戦向かい飛車や立石式を鑑みるにそちらの方が感覚的によさそうに思えるかもしれないけど、飛車で相手の金駒を攪乱した後はこの金を囲いに引きつけたいので、△4一金~5二金左と動ける 3一に敢えて動くのがよいってことなのかな」

 

芳乃「居飛車を指すときこそー、高く銀冠を評価している茄子さんはー、振り飛車をもっては平美濃を好むのも不思議なところでー。飛車の打ち込みに強いゆえかしらー?」

 

▲4八銀△2四飛▲3八金△9五歩▲5七銀△4一金

 

あずき「先手の金を3筋に誘ってから、自分はここで金を戻っておく。手損よりも効率の悪さの方が将棋では祟るから、5二金左と固められれば金一枚分働きの差が生じることになるので美濃が堅いってわけだね」

 

▲6六銀△3三銀▲6八角△4四銀▲8八銀△6四歩▲5九飛△5二金左▲4六歩△6五歩▲同銀△5五銀▲4五歩△3四飛

 

芳乃「先手が4五歩を突いてきたのでー、6八の角を焦点に角交換から捌く順が読み筋に入りますー。よって飛車が角の利きを妨げないように3四飛と戻っておくのがよいのでー」

 

あずき「振り飛車の捌きの感覚って謎だよね。チェス・プロブレムで敢えてチェックを掛けずクイーンやルークを使って相手のキングを縛るのに似てるかな」

 

▲2六歩△6四歩▲5六銀△同銀▲同飛△3三桂▲3六歩△1三角

 

あずき「角交換すると、一手早く先手から▲3二角の確実な攻めがあるように見えるんだけどね」

 

芳乃「浮いた7八の金を狙いつつー、馬を消しー、5三の地点まで引き寄せた馬に当てながら飛車金交換で4五桂と跳ねられれば後手が悪いわけがないのでしょうー。ここまで左辺が捌ければ三間飛車としては気持ちが良いのでしてー」


▲4七金△3六歩▲1三角成△同香▲3二角△6九角▲2三角成△3五飛▲1三馬△4五飛▲4六金△7八角成▲4五金△6七馬▲5七飛△同馬▲同馬△7八金▲7九銀打△4五桂▲6七馬△7九金▲同銀△6九飛▲7八金△6七飛成▲同金△4六角▲6八歩△6九金▲4九飛△7九金▲同飛△5八銀▲7八金△6七銀成▲同歩△6八銀▲8八銀△7九銀成▲同金△4九飛▲5九歩△同飛成▲6八銀△同角成▲同金△同竜▲1三角△5七桂成

 

あずき「4五に跳ねた桂を常に活かす順を頭に置いて、再生する穴熊を打ち換え打ち換えしながら受け駒がなくなるように仕向けるのが分かりやすい攻め」

 

芳乃「ちぇすのえんどげーむでー、ぴーすの打ち直しができたらおもしろいのにー」

 

あずき「……それ、なんてカオス?」

 

▲8六角△8八竜▲同玉△6九銀▲7九香△6七成桂▲1八飛△5八銀打▲6八飛△7八金▲同香△同銀成▲同飛△同成桂▲同玉△6七銀打 まで 118手で鷹富士の勝ち

 

あずき「以下は即詰みだね」

 

・後手番 △2二玉型対振り雁木 対四間飛車穴熊

 

後手番 △2二玉型対振り雁木 対四間飛車穴熊 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

芳乃「これも、あるばらえてぃの企画でしてー」

 

あずき「先手番を持ったのは、天才子役少年と名高い男性アイドル……まだ11歳とはいえ恐ろしい強さだったよね。将棋のイベントとかこなしてたし、やっぱり好きこそものの上手なれ、なのかな」

 

芳乃「大人げないようにも見えますがー、彼の将棋への熱意に感じ入ったからこそ茄子さんはこのような指しまわしをしたのでしょうー」

 

あずき「塔矢アキラをフルボッコにした藤原佐為みたいな?」

 

芳乃「あるやもしれませぬー」

 

あずき「また同時に本譜は、広さと堅さ、どちらも目指していく鷹富士システムの概念が垣間見えるから紹介したいんだよね」

 
▲7六歩△8四歩▲6八銀△3四歩▲6六歩△5四歩▲5六歩△6二銀▲5七銀△4二銀▲6八飛

 

芳乃「先手の作戦は 5七銀型の四間飛車なのでー」

 

あずき「この作戦は先崎先生が研究して、三浦流右四間にテーゼを投げ掛けたこともあったよね」

 

芳乃「その辺りはー、菜々さんが詳しいのでー」

 

△3二金▲4八玉△4四歩▲3八玉△5二金▲2八玉△4三銀

 

あずき「この頃は、相矢倉戦での雁木が注目され出したと共に、強豪ソフトが対振りでの雁木や、雁木から穴熊へ組み替える雁木穴熊なんてアイデアを出してきた時期かな。茄子さんの銀が真っ直ぐ立ったのも時代を感じる」

 

芳乃「情報というのは武器なのでしてー。ときに、振り飛車雁木というモノをあずきさんはご存じでー?」

 

あずき「ナニソレ」


▲1八香△5三銀▲1九玉△4一玉▲2八銀△3三角▲3九金△3一玉▲4六銀△8五歩▲7七角△2二玉▲3六歩△1四歩▲3五歩△同歩

 

あずき「先述の雁木穴熊ではなく2二玉で止めたのは、雁木の利点のひとつである玉の懐の広さという利点を消さないためですか?」

 

鷹富士茄子「そうですね~。三間飛車との組み合わせで最近よく見る形ですが、▲4六銀を起点に飛車も転回して3筋を攻める順、というのも気になりましたし。実戦投入する前に一応研究のようなことはしても、やはり勝負は水物ですね~」

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あずき「そうなんですねー、はい!ということで、ゲストには鷹富士茄子さんご本人に登場いただきました!」

 

芳乃「空気を温めておきましたのでー」

 

茄子「こんにちは~、鷹富士茄子です。自分の対局の紹介をしていただいている場に来るというのは、なかなか勇気のいることですね。頑張ります」

 
▲3八飛△3六歩▲同飛△8六歩▲同角△4五歩▲同銀△6六角▲7七角△同角成▲同桂△6六角▲6五桂△6四銀▲3三歩△同桂▲5四銀△同銀▲3四歩△4五銀打▲3三歩成△同金▲同飛成△同玉▲3四歩△同玉▲4六桂△4三玉▲5四桂△同玉▲5三銀△3六桂▲6四銀成△同歩▲5五銀△同角▲同歩△6五玉

 

あずき「腰が入った攻めだよねぇ」

 

芳乃「彼は将棋の本を読みだすと時間を忘れてしまうー、という話があるみたいでー」

 

あずき「良いパンチを、穴熊に籠らないという利点で受け潰していくのは壮観だなぁ」

 

芳乃「盤上と頓死筋の海をー、孤独に泳いでいくのでしてー」

 

あずき「浮いた歩を狙う飛車転回に対しての△3六歩は細かい仕込みで、6段目と5段目のどちらが相手の飛車が使いにくいかを考えると……その差は明らかだよね。これもチェスの手筋ですか?」

 

茄子「そう……ですね。指しているときはふっと読み筋に入るものですが、言われてみると確かに将棋で習った手ではないかもしれませんね~」

 

芳乃「△4五銀打、と指をしならせて打ち込むのが如何にも茄子さんの棋風なのでしてー」

 

茄子「ここで飛車を切ってくる思い切りは素晴らしかったと思います」

 

あずき「金駒を打って動画サイトのコメントが増えるアイドルは前代未聞とのことで」

 

芳乃「でしょうねー」

 

あずき「ぬるぬる玉が出てきたこの辺りは、まるで『ハチワンダイバー』の二こ神流雁木みたいだよね」


▲7一角△2八桂成▲同金△3九銀▲6六金△同玉▲7五角△5五玉▲6七桂△5四玉▲3九角△8七飛成▲5五銀△6三玉▲4四角成△3四金▲5四銀△7二玉▲4五馬△同金▲7五桂△7四銀▲5三歩△6二金▲4五銀△4九飛▲6六角△7六竜▲8三銀△同銀▲同桂成△同玉▲8四金△7二玉▲5八銀△3九銀▲4九銀△6六竜▲5九飛△5七歩▲3八銀△4八銀打 まで 114手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「84手目でようやくの△8七飛成……角を合わせて交換したあたりから、飛車を成らせる暇を与えず攻めたてていたってことだとすれば先手も恐ろしい子

 

芳乃「受け切りによってー、先手の駒台は空ですのでー」

 

あずき「88手目△3四金の受けが光ったのかな」

 

茄子「よい勝負でしたね」

 

4.鷹富士システム


・後手番 真・鷹富士システム 中住まい型

 

後手番 真・鷹富士システム 中住まい型 | Shogi.io(将棋アイオー)


芳乃「本項からー、完成した後手番での真・鷹富士システムを披露しますよー」

 

あずき「先手番の完成には実はもうひとつ壁があったのだが、後手用は先に完成していたんですよね?」

 

茄子「えぇ、実は……」


▲7六歩△1二香

 

あずき「では、説明をお願いします」

 

茄子「はい。えーと……初手左香が鷹富士システムの骨子になりますね。自分が振る場合は相手の角筋を香が避けた得になるし、自分が振らない場合は常に居飛穴や銀冠穴の選択肢を入れながら戦うことができる。さらに地下鉄で端まで奔るといった策の他、本譜のようにここに駒を埋めて受け潰す、或いは誘い込んで受け潰す、といった構想にも用いることのできる、損にならない手……なんてところでしょうか」


▲2六歩△7二金▲2五歩△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△3四歩▲1六歩△6二銀▲1五歩△8四歩▲7八金△8五歩▲2二角成△同銀▲8八銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七銀△8四飛▲8六歩△5二玉▲4八銀△7四歩▲9六歩△7三銀▲5八金△7五歩▲同歩△6四銀▲7四歩

 

芳乃「なぜ中住まいを選んだのでー?」

 

茄子「一手で自陣が安定するんですよね。もちろん、堅い訳ではないですけど、広いですし」

 

あずき「あずきとしては、この歩を逃がす 7四歩が結果的には敗着だったかなぁって。飛車切りを見落としたのか、読めなかったのか……」

 

△7四同飛▲5六角△7八飛成▲同銀△8八角▲2四歩△同歩▲3四角△1一金

 

あずき「この手はわが目を疑ったなぁ」

 

芳乃「先手は3二、2二、1一の金駒を回収し攻めに使うことが絶望的になった……とは後からなら言えますがー……」

 

あずき「そして将来的に左辺に飛車を下ろすスペースすら潰しているんだよね」

 

茄子「△2三金と角に打てて打つのも一案と思いましたが、角切の選択肢を与えない分、1一金が勝るかと思いました」

 

あずき「シビアだなぁ。前項の雁木対穴熊戦で、終盤に立ち遅れた金を標的に飛車を下ろす攻めとかあったけど、そもそも拾われない形を作ってしまえばいいっていうのは逆説的」

 

茄子「ところでこれは、穴熊の玉の位置に金がいるので、アナキン・スカイウォーカーでしょうか~なんてうふふふ」

 

▲9七香△5五角成▲7三歩△同桂▲6六歩△同馬▲8一飛△8八歩▲9一飛成△8九歩成▲9二竜△8二歩▲8一竜△7一歩

 

芳乃「堅くはないのですがー、耐久力がありますねー」

 

茄子「また、中住まい型で金と玉が離れているときは、その筋の歩を切らしておくことでこのように持ち歩だけで相手の飛車の横利きを止められる筋を終盤の視野に入れておくとやりやすいかもしれません」

 

あずき「ポーン・チェインを打って作ってるw」 

 

▲7四歩△6五桂▲7三香△同金▲同歩成△同銀▲7一竜△6二銀▲8二竜△5五馬▲9二竜△8二歩▲8一竜△7九と▲6七銀△7七桂成▲5六銀△4四馬▲1六角△6六桂▲2四飛△3四歩▲2八飛△2七歩▲同飛△2六香▲1七飛△2八香成▲7二金△1七馬▲6一竜△4二玉▲6二竜△3三玉 まで94手で後手・鷹富士の勝ち

 

・後手番 真・鷹富士システム 角交換矢倉型

 

後手番 真・鷹富士システム 角交換矢倉型 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲2六歩△1二香▲7六歩△3二金▲2五歩△7二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△3四歩▲7八金△8四歩▲2二角成△同銀▲8八銀△6二銀▲6八玉△6四歩▲4八銀△6三銀▲5八金△7四歩▲9六歩△3三銀▲1六歩△1四歩▲9五歩△5六銀▲4六歩△4二玉▲4七銀△6三金▲5六銀△3一玉▲7七銀△4四歩▲3六歩△2二玉▲3七桂△7三桂

 

あずき「実は本譜の先手もあずきなんだよね……さっきより先手から1手早く角を交換して、角換わり調にすればどうかな、って思って。そうすると、1一が開いている状態で△2二玉ってされた瞬間のプレッシャーがすごいのなんのって」

 

芳乃「鷹富士しすてむではー、この5四銀~6三金~7三桂の連結を相当な好形と捉えるー、とは先述のとおりなのでしてー」

 

あずき「中飛車や矢倉中飛車、5筋位取りや鎌鼬のように 5五を制圧され 5六銀と出られない場合は、糸谷流のような玉と金が変則的な形ではあるが、右玉に組めばよい。いろんな戦型のエッセンスが、鷹富士システムに注ぎ込んでいる感じがするんだ」

 

茄子「うふふ」


▲6六歩△8五歩▲7九玉△6五歩▲同歩△7五歩▲6六銀△7六歩▲6七金右△5九角▲3八飛△8六歩▲同歩△同角成▲8三歩△同飛▲7二角△8二飛▲6一角成

 

芳乃「ここで後手から面白い手順があるのでしたねー」


△8八歩▲同金△8七歩▲7八金△6五銀▲8三歩△6六銀▲同金△6二飛▲7一馬△8八銀

 

茄子「この8八銀の放り込みまで読んだうえで、8八歩~8七歩~6五銀と拠点を作ったのち銀交換に行くのがよいのです」

 

あずき「ダンスの歩みたいに歩を使うことで、相手の手番をスキップさせた局面にすることができるってことだね」


▲6九玉△8九銀不成▲7五銀△7八銀成▲同飛△7七馬 まで 78手で後手・鷹富士の勝ち

 

・先手番 鷹富士システム初手▲4六歩 平美濃型

 

先手番 鷹富士システム初手▲4六歩 平美濃型 | Shogi.io(将棋アイオー)

 

▲4六歩

 

あずき「これが、茄子さんの言ってた完成前の、先手番システムだね」

 

芳乃「この初手はどのような手で?」

 

茄子「えーと、腰掛銀の通路として、右四間飛車の第一歩として、はたまたダイレクト向かい飛車腰掛け金の変化も見込み、4筋の歩を突く手は損にならないのではないか。そんなことを考えでて、手番では一手の得を活かしいきなり4筋を突いてはどうでしょう、と思ったのですけどね~」

 

あずき「けど?」

 

茄子「結論から言うとこれは後手から『損にしようとして出来る』手なのです。なので、4筋の歩を突くことは辞めました」


△8四歩▲9八香△8五歩▲7八金△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△4六飛▲4八飛△同飛成▲同玉

 

茄子「この順がそれで、ここでお互い飛車を手持ちにした状態で先手の効率があまりよくない、というのが私の結論ですね。後手をもった紗枝ちゃんも同意見のようで」

 

芳乃「鷹富士の結論」

 

あずき「角換わりならぬ、飛車換わりって感じ。8二の地点をケアしてこなかった場合8三飛から竜を作ることも出来そうだけど……」

 

茄子「それでも、私なら後手をもって咎め切る自信がありますね~」

 

△8二歩▲3八銀△6二玉▲7六歩△8三歩▲3九玉△7二銀▲2八玉△7一玉▲7五歩△3二金▲9六歩△3四歩▲2二角成△同銀▲7七桂△9九飛

 

あずき「この9九飛はいかにもな先手の仕掛けた罠だね」

 

芳乃「でなければ▲7七桂と跳ねないでしょうー」

 

▲6五桂△6四角▲4一飛△3一銀▲8八角△9八飛成▲1一角成△3三桂▲同馬

 

あずき「△3三桂▲同馬……(笑)」

 

茄子「??3枚替えは容赦なく、そして躊躇なく飛び込むべき順でしょう?」

 

あずき「いや、なんとなくノータイムで取った茄子さんが想像できちゃって……w」

 

△3三同金▲3一飛成△4四香▲5二銀△4九香成▲同銀△4七角▲6一銀不成△同銀▲5二金△7二銀打▲5三桂不成△同角▲同金△4六桂▲3九香△8二玉▲6二香△5九金▲4八銀 まで 59手で先手・鷹富士の勝ち

 

・後手番 真・鷹富士システム 銀冠穴熊

 

後手番 真・鷹富士システム 銀冠穴熊型 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲7六歩△1二香

 

茄子「本譜は、先手を紗枝ちゃんに持って頂いて」

 

あずき「後手番の鷹富士システムを相手にした時に恐ろしいのは、相居飛車で相掛かり調の将棋でも角換わり調の将棋でも、気を抜くと後手が銀冠穴熊に潜られてしまう可能性があること……っていうのがさっきの1一が開いている状態で△2二玉って来るプレッシャーの話なんだけどね」

 

芳乃「組み切れば最強の囲いと言われているだけありー、油断も隙もあったものではないのでー」

 
▲2六歩△7二金▲2五歩△3二金▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△3四歩▲7八金△6二銀▲3八銀△8四歩▲6六歩△6四歩▲2七銀

 

あずき「小早川の相掛かり棒銀だ」

 

芳乃「角換わりを拒否してから棒銀、と」

 

あずき「先手としてはやはり飛車先を勢い切りに行きたいよね」

 

芳乃「しかしー、茄子さんとしてはそこまでそれは損でないと思っているわけでー」

 

茄子「まぁ、飛車先を切って一方的に得なら相掛かり▲2六飛型は先手勝ちでしょうし、雁木という戦法もないでしょうから」

 

あずき「でも、居飛車を勉強してきた身としては、紗枝ちゃんもだと思うけど、やっぱり飛車先を切って好形じゃない、って思いたくないって依怙地になるところもあるんだよね。本譜はそれを完全に逆用していくのを目の当たりにするから何とも言えないなぁ」


△6三銀▲2六銀△4二銀▲2五銀△3三銀▲2四歩△同歩▲同銀△同銀▲同飛△2三銀

 

芳乃「それがー、交換した銀をすぐに手放しー、銀冠をもう作ってしまうというこの順ですねー。たいとるで『銀冠穴熊』と打っておきながら△3三銀と上がられたときにはどうしようかと思ったのでー」

 

 

茄子「銀冠を作ったら、あとはバランスをとりながら入城するだけです。簡単でしょう?」


▲2八飛△2四歩▲5八金△5四銀▲6九玉△6三金▲6八銀△7四歩▲7九玉△4一玉▲6七金右△7三桂

 

芳乃「5四銀6三金7三桂型が築かれたのでしてー」

 

▲5六歩△3一玉▲9六歩△9四歩▲7七角△4四角▲4六歩△2二玉▲3六歩△1一玉▲3七桂△6五歩▲同歩△同銀▲6六歩△5四銀▲1五銀△8五桂▲8八角△7五歩▲2四銀△同銀▲同飛△2三歩▲2五飛△7六歩▲同金△7二飛▲7五歩△9五歩▲同歩△9七歩▲4五歩△3三角▲3五歩△9五香▲3四歩△2四角▲6五歩△7七歩▲同桂△9八歩成▲8五桂△8八と▲同玉△9九香成▲同玉△6九角▲7九金△8七角成 まで 92手で後手・鷹富士の勝ち

 

・先手番 鷹富士システム初手▲4六歩成功例

 

先手番 鷹富士システム初手▲4六歩成功例 | Shogi.io(将棋アイオー)


あずき「ところで、『手順に問題アリとして初手4六歩は辞めた』て言ってたけど、紗枝ちゃんみたいに後手が咎めないとどうなるのかな」

 

芳乃「では、それを解説していきましょうー」


▲4六歩△3四歩▲9八香△4四歩▲4八銀△4二飛▲4七銀△3二銀▲7六歩△3三角▲5六銀△4三銀▲6八玉△5四銀▲7八玉△6二玉▲4八飛

 

あずき「あっ、この形」

 

茄子「そうです。察しの通り、対振り飛車先不突右四間飛車になります」

 

芳乃「『組めたら作戦勝ち』とも言われているこれに合流するのは後手振り飛車にとって厳しいものがあるのでー」

 

茄子「角道をオープンしたままなら、角交換からダイレクト向かい飛車の腰掛金の変化へと持ち込むという流れも頭にあったんですけどね~」


△7二玉▲7七角△8二玉▲8八玉△7二銀▲9九玉△4五歩

 

あずき「穴熊を許さじ、とここで振り飛車が暴れて来たので本譜は居飛穴まで入りきらなかったけど、自然な良い手が重なった印象があるよね」


▲4五同歩△7七角成▲同桂△3三桂▲4四歩△3五角▲6六角△3二金▲8八銀△6四歩▲5八金右△7四歩▲7九金△6二飛▲3六歩△2四角▲6八金寄△7三桂▲7五歩△6五歩▲4三歩成△同金▲5五角△同銀▲同銀△4六歩▲4四歩△同金▲同銀△7五歩▲3三銀不成△同角▲7四桂 まで57 手で先手・鷹富士の勝ち

 

茄子「▲5五角は稀に見る程に好感触の手でしたね~」

 

・後手番 真・鷹富士システム 相横歩取り

 

後手番 真・鷹富士システム 相横歩取り型 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲7六歩△1二香▲2六歩△7二金▲6八玉△3二金▲4八銀△3四歩▲7八玉△6二銀▲2五歩△8四歩▲2四歩△同歩▲同飛△8五歩

 

あずき「ここで 2三歩を打たないっていう選択もあるんだ」

 

芳乃「打たなければ相手に横歩を抜くかどうか委ねることになるわけでしてー。左香が上がっているので逆に打たれるのは問題がないのでしょうー。そうでしょうー?」

 

茄子「さぁ……それは後々の課題にしていただきたいですね~」


▲3四飛△8八角成▲同銀△8六歩▲同歩△同飛▲7七角△7六飛

 

あずき「ここに、予め香車を1一からずらしてあるから飛香両取りがかからない強みと、横歩を抜きながら角をピンするっていうチェスめいた守備の手が出てるよね」

 

芳乃「相横歩取りでは飛車先を決めてから角を交換するのに対し―、それを織り込んで先に角から交換するというのも研究が垣間見えるようでー」

 

▲8四飛△8二歩▲3六歩△7四歩▲8七銀△7五飛▲3七桂△7三銀▲8六飛△3三桂▲2三歩△5二玉▲4六歩△2八角

 

あずき「実は、この『横歩取りで幸せになれないところに角を放り込む』っていうことをやっている例があるんだよね」

 

▲六の宮の姫△どらちゃん先生 横歩取り | Shogi.io(将棋アイオー)

 

芳乃「これは冒頭の姫の棋譜ですかー。いったい何者なのでー?」

 

あずき「茄子さん、そういえばこの前『ありすちゃんに教わってネット将棋を始めてみたんですよ~』って……」

 

茄子「ふふっ」

 

▲1八香△1九角成▲1六歩△6五飛▲6六飛△同飛▲同角△2九飛▲5九金右△2三飛成▲1七香△1八馬▲4五桂△同桂▲同歩△1七馬▲1一角成△8三香▲8六歩△2六馬▲3五桂△2五竜▲4三桂成△同金▲2一飛△同竜▲同馬△7五桂▲3一馬△8七桂成▲同玉△4八馬▲同金△4六飛▲5九角△6八銀▲7八玉△5九銀不成▲同金△8六飛▲8五歩△同飛▲6八玉△8九飛成▲3五桂△5六桂▲同歩△7七角まで 86手で後手・鷹富士の勝ち


芳乃「以下は即詰みでしてー」

 

あずき「終盤の一手一手が冴え冴えとした好手の連続なので、ぜひ並べてみてチェスのエンドゲームを吸収した終盤感覚を意図を共有して貰えたらって思うよね」

 

茄子「うふふ」

 

・後手番  真・鷹富士システム 居飛車穴熊型 対中飛車

 

後手番 真・鷹富士システム 居飛車穴熊型 対中飛車 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲7六歩△1二香▲1六歩△6二金▲1五歩△3二金▲5六歩△3四歩▲5八飛△8八角成▲同銀△4二玉▲7七銀△5二金▲4八玉△3三玉▲5五歩△4五角▲6六角△4四歩▲5四歩△同歩▲3八玉△6七角成▲5四飛△4三金右▲5一飛成△6二銀▲5九竜△8九馬▲6八金△4五馬▲2八玉△6四歩▲3八銀△6三馬▲4六歩△2二玉▲5七金△5三銀▲5六金△1一玉▲4五歩△2二銀

 

あずき「藤井システムの項で触れた、3三の地点を堂々と通って穴熊に入城する王様……」

 

芳乃「この世でもっとも嫌な囲いに入られてしまったのでー」

 

▲4四歩△同銀▲5五金△同銀▲同角△5四歩▲2二角成△同金▲6六銀△3二金打

 

あずき「金閣寺ですねぇ」

 

芳乃「この鹿苑寺金閣はなかなかに燃えにくそうなのでしてー」


▲5五歩△同歩▲同銀△7七角▲4四歩△5九角成▲同金△3三金寄▲4三銀△5七飛▲3二銀成△同金引▲4三銀△5九飛成▲4九金△5五竜▲3二銀成△同金▲4三金△3一金▲5四歩△同馬▲7一角△7二飛▲5三角成△同馬▲同金△同竜▲4三歩成△同竜▲6一角△4二飛▲4三角成△同飛▲5一飛△3二金打▲8一飛成△6六角▲3九桂△4八銀▲同金△同飛成▲4九銀打△3九竜▲1七玉△2八角▲1六玉△2四桂▲2五玉△3五金 まで 104手で後手・鷹富士の勝ち

 

・後手番 鷹富士システム亜種  四間飛車

 

後手番 鷹富士システム亜種 四間飛車 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲7六歩△1二香▲2六歩△4二飛

 

芳乃「実は鷹富士しすてむ側から振る、という選択肢もあるのでしてー」

 

茄子「これを実現するためには、都成流と阪田流、そして最新の菅井竜也先生の左金を攻めの起点とする振り飛車をだいぶ研究しましたね~」

 

あずき「やってみてどうでした?」

 

茄子「普通に居飛車で良さそうなので、気が向いたときか、居飛車型の鷹富士システムに対策が生まれた時にここに戻って来られたらいいなぁと思いますね~」

 

▲2五歩△6二玉

 

あずき「2四歩から飛車の成り込みに抵抗しなくていいのかな」

 

▲2四歩△同歩▲同飛△3四歩▲6六歩△7二玉▲2三飛成△3三角▲3四竜△2二飛▲2三歩△3二飛▲4三竜△4二飛▲同竜△同金▲3八金

 

芳乃「なるほど玉形で差をつけるのでー」

 

あずき「飛交換さえしてしまえば、相手は2筋と6筋の打ち込みを居玉のまま待つばかりってことか」

 

△8二玉▲2八銀△6七飛▲5八玉△8七飛成▲7八金△7六竜▲1六歩△7二銀▲1五歩△2六歩▲3六飛△4三金▲2六飛△7四竜▲7七角△4四金

 

茄子「金で捌く菅井流は、感覚を捉えるのに時間が掛かりましたね」

 

▲3六歩△5五金▲3五歩△4六歩▲6七金△6六金▲同金△同角▲6七金△7七角成▲同桂△7六金

 

あずき「▲7六同金△同竜と進めた局面では次に△4七歩成が目から火が出る王手飛車!飛車の横利きを切る4六歩が大事な一手だね」

 

▲7八銀△6七金▲同銀△7七竜▲6八金△4九角▲同玉△6八竜 まで 60手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「意地悪な質問ですけど、3一の銀が泣いているようにみえないです?すべての駒の効率を純化するという謳いの鷹富士システムとしてはどうなんでしょう」

 

茄子「いい質問ですね~。この銀は、序盤の飛車交換を支えるためには初期位置から動かしてはいけないボランチです。駒効率の純化の標榜には、初期配置の位置エネルギーを相対的に高めるのもまた一策ではないでしょうか~」

 

・後手番 真・鷹富士システム 対5筋位取り

 

後手番 真・鷹富士システム 対5筋位取り | Shogi.io(将棋アイオー)


あずき「鷹富士システムの狙いの一つである、5六(5四)銀+4七(6三)金+3七(7三)桂の好形に対し相手が機敏に反応し、5筋の位をとることで腰掛け銀を許さじとして来た場合の一例を見るよ」

 

茄子「先手をもってくれた紗枝ちゃんは、何度もやってますからね~。こちらの狙いに先回りしようとしています」

 

▲2六歩△7二金▲2五歩△3二金▲3八銀△5二玉▲4六歩△6二銀▲4七銀△8四歩▲5六歩△7四歩▲7八金△4二銀▲5五歩△7三銀

 

茄子「実は、5筋位取りに対しては右玉にするというのもあるのですが、もうひとつの考え方は△7三銀から早繰り銀で速攻を見せるというものです」

 

あずき「茄子さんの右玉はこんなのがあるよ」

 

箸休め 後手番風車 対▲8八玉型ツノ銀雁木 | Shogi.io(将棋アイオー)


▲2四歩△同歩▲同飛△2三歩▲2八飛△6四銀▲5八飛△3四歩▲5六銀△8五歩▲7六歩△7三桂▲6九玉△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛

 

芳乃「7五歩からの仕掛けを見せるために4段目に引くのが良いとー」


▲9六歩△7五歩▲4五銀△7六歩▲5四歩△8八角成▲同銀△4七角

 

茄子「これが5筋位取りや中飛車型に対しての鷹富士システムの基本的な攻めでしょうか。5筋の位をとるために相手が費やした手数で、こちらは効率よい駒組みを目指し、角交換から急所に角の打ち込みを見せます」


▲6六角△8一飛▲5三歩成△同銀上▲1一角成△5七歩 まで 48手で後手・鷹富士の勝ち

 

あずき「6五桂も 3三桂も後手の権利だから、5筋の位を取ってしまったがための5七の地点のハザード度合はむしろ高いくなってるのかな」

 

・先手番 真・鷹富士システム

 

先手番 真・鷹富士システム | Shogi.io(将棋アイオー)


▲9八香

 

あずき「最後に、先手番の真・鷹富士システムを紹介してこの企画も終了だよー」

 

茄子「これにて現時点での鷹富士システムは完成となるのですが、これは『破られない戦法』を目指したものではないことを断っておきたいと思いますね~」

 

あずき「というと?」

 

茄子「すべての駒の体感的価値や定跡・手筋とされてきたものを疑ってかかって欲しい、と一手一手に魂と意味を籠めたのがこの、あずきさんや芳乃ちゃんが『鷹富士システム』と呼んでくれた指し回しです。これを破って貰うことで、開かれる将棋があることを私は確信しています」

 

芳乃「本当に初手は左香であるべきなのかー、ダメならば最善とはー……理論を伴って善悪が判明する日が待ち遠しいのでー」


△3四歩▲3八金△4四歩▲4六歩△5二金右▲4八銀△4三金▲4七銀△3二金▲7六歩△4二銀▲5六銀△3三銀

 

あずき「こうやって▲4六歩を実現にもってきたんだね。そして突けない場合は後手番みたいに居飛穴含み右玉含み、あるいは中住まいで横歩取りや相掛かりのように指していく、と」

 

芳乃「後手の作戦は金矢倉でしてー」

 

あずき「純文学ってどこまで入るんだろうね?たとえば、最新の学説を操って古典文学を紐解いたものは、純文学に認めて貰えないのかな」


▲7七角△3一角▲6八玉△4二角▲7八玉△4一玉▲8八玉△3一玉▲9九玉△2二玉▲3六歩△5四歩▲3七桂△6二銀▲8八銀

 

あずき「居飛穴に組めたのに、ここから固めることはしないんですよね」

 

茄子「天守閣の中から幾千の戦場を見おろし、堅さと広さを両立する穴熊を模索してきたのですよ~。それに、角交換から相手の飛車が横歩を抜いてきたときに、質入れされる駒がない方がよいでしょう?」


△8四歩▲2五桂△8五歩▲4五歩△同歩▲3五歩△8六歩▲同歩△同角▲同角△同飛▲8七歩△7六飛▲3三桂成△同金寄▲3四歩△同金▲6五銀打△7五飛▲6六角△3三角▲7五角△5五歩▲8二飛△8三桂▲4五銀△同金▲8三飛成△7四歩▲同竜△7七歩▲7二竜△5一角▲5四桂△7一銀打▲8一竜△4四金▲7二歩 まで 67手で先手・鷹富士の勝ち

 

あずき「ポジショナル・プレーってことで将棋を紹介したけれど、今度はサッカーでもやらされるのかな?」

 

芳乃「まさか、そんなー」

 

あずき「と、いうわけで、今日はここまで!ポジショナル・プレーを将棋に導入するとどうなるのか……いろんな人に考えてみてほしいよね!桃井あずきと!」

 

芳乃「依田は芳乃とー」

 

茄子「鷹富士茄子でした~」

 

(続く)