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愛とは、全人生をかけてアイドルにチェスを教えること。

フリルドスクエアと行く、奥深いチェスの旅。

幕間:東郷あいのANN

 

東郷あい「この前、ウチの事務所の、白坂小梅君と対戦したんだ。うん、チェスでね」

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あい「彼女、前に話した時は、『チェスのルールは知っている程度』と自称していたから、どの程度なのかと思ったのだけど、案外強かったんだ」

 

あい「オープニングやミドルゲームは、将棋やシャンチーといった類似のゲームをやったことがある子ならもしかすると感覚的にわかってしまうのかもしれないが、エンドゲームというのはチェスに独特の概念だと思うからね」

 

あい「だけど、小梅君はなかなかエンドゲームの手筋にも習いあるようでね。終わった後気になって聞いてみたのさ」

 

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あい「ところで、小梅君。君は前に聞いたときは『ルールがわかるくらい』と言っていたが、ずいぶん立派にプレイできるじゃないか。誰かについて習っているのかい?もしよかったらだが、本格的にやってみる気はないかな」

 

小梅「えと……誰かについて、とか、そういうんじゃないんです……ただ、『あの子』とプレイしていたら、いつのまにか……」

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あい「……『あの子』?」

 

小梅「うん。……あの子」

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あい「ということがあったんだ。……少し気になってね。彼女と仲良くしている子たちにも聞いてみたんだが……」

 

??『フ、フヒ……小梅ちゃんは、よく、ひとりでチェス……してる……フヒ』

 

??『知ってますよぉ……小梅さんは熱心に、最近ひとりでチェスを並べてますねぇ……』

 

あい「というんだ。不思議な話を聞いたからね。お裾分けさ」

 

あい「では、今日も元気に始めようか。『東郷あいのオールナイトニッポン』!」


Bitter Sweet Samba (オールナイトニッポン・テーマ曲)Long Ver.

 

あい「この番組は、私、東郷あいがお送りする番組だ。水瀬コーポレーション、村上建設の提供でお送りしているよ」

 

あい「いつもは生放送だが、今日は大人の事情、というやつで先に録ったものの放送だ。勘弁してほしいな、君たちにとっても悪くない事情だと思うからね」

 

あい「えー、今週も、たくさんのお便り、ハガキ、メール、ファックスそれから矢文と……矢文?!……まぁいいか。えー……とにかく、たくさんのお便りをありがとう。レスポンスを頂くと、こちらも身の引き締まる思いがするよ」

 

あい「まずは1通、ご紹介しよう。P.N.『稚内のドンスコイ』さんからだ。」

 

『あいさん、こんばんは。いつも楽しく聞いています。私は将棋が趣味なのですが、よくうっかりして角の利きを見逃してしまうんです。そんなことを悩みながら部屋の中をぐるぐると歩いていたら、箪笥の角の利きまで見逃して小指を負ってしまいました。あいさんはこんなドジをしたことはありますか?』

 

あい「えー、『稚内のドンスコイ』さん、ありがとう。小指の方は大丈夫かな?お大事に。皆も気を付けるように。休みだからと浮かれがちなときこそ、些細なことで大きなけがをするものだからね」

 

あい「私のドジか……怪我をするようなドジはあまりした覚えがないが、部屋にはサイドテーブルにいつもチェスセットが広がっていてね。この前メイクをするときに、先ほど使ったルージュがないな?とひとり5分くらい探していたんだ。留美さんからもらったお気に入りの1本だったからね……」

 

あい「そうして見つからなくて、やれやれ、どうしたものかと思いながらチェスセットを見遣ると、鹵獲されたポーンの様な顔をして私の探していたルージュがそこに立っていたわけさ。あれは少し恥ずかしかったね……」

 

あい「さて、そろそろ今日のゲストを呼ぼうか。今日は2人、豪華なゲストに来てもらっているよ。入ってくれ」

 

?????「フフンフンフン、電流、磁界、力!」

 

??????「アー、フレミング、ですか?」

 

宮本フレデリカ「おー、よくわかったね!呼ばれて飛び出て、フレデリカの法則だよ!」

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アナスタシア「スパシーバ、今日は呼んでくださって、ありがとうです。アナスタシア、アーニャと呼んでください」

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あい「こちらこそ、来てくれてありがとう。急なオファーだったが、すぐに実現したことを嬉しく思うよ。みんなも知っての通り、彼女たちの名勝負がこの前の土曜にあったばかりだが、今日はその舞台裏をのぞいてみたい、という要望にお応えしよう、と彼女たちに来てもらったんだ。そうそう、アナスタシアくんに出て貰うために、今日の放送は前録りとなっているんだよ」

 

アナスタシア「ありがとうございます」

 

あい「とんでもない。私がパーソナリティを務める番組で、君たちの話が聞けるのを幸運に思うよ」

 

フレデリカ「ウンウン~?どんどん聞いてくれたまえ~?」

 

あい「君は相変わらずだね。まぁ、そこが君の良さなのだろうが……」

 

あい「早速だが、五番勝負というひとまとまりの手合わせを経ての君たちの心境であるとか、その辺りを聞いてみたいな。まずはアナスタシア君から、お願いしようか」

 

アナスタシア「ダー。グロースベ……気持ち、ですか。最初は、負けられない、負けたくないとそればかりを考えて、また負けるわけがない、とも思っていました。アーニャ、チェスはひとりでやるものだ、と思ってましたから」

 

あい「なるほど。思っていた、ということは今はそうではない、ということなのかな?」

 

アナスタシア「ダー。当たり前のことです。チェスはふたりいないとできません。大事なことに気が付けたシリーズだった、と思います。フレデリカ、勝負の中で強くなった。また、お願いします」

 

あい「確かに、1,2ラウンドはアナスタシア君が圧倒したようにも見えたこの勝負、3ランドで逆転からドローに持ち込んだフレデリカ君の成長は目覚ましかった。次は君に、話を聞こうか」

 

フレデリカ「えっへへ~♪久しぶりに、自分より強い相手と戦えて、最初の方こそうまくリズムがとれなかったけれど、段々勝ち負けよりも、ここから最善のムーブでピースを動かしていったら、どこまでいけるんだろう?どんなふうにこのゲームは終わりを迎えるんだろう?って思う様になったんだ~。アーニャちゃんは強いけど、寂しいチェスを指すなぁ、とも思ってて。いろいろつかみかけたのを確認するために、頼み込んで5ラウンドまでやってもらったの!みんな、ありがとう~!」

 

あい「あの第5ラウンドは語り草だよ。「ひとつのタイトル戦を観ているようだった」という反響を事務所外からいただいたりもしたが、そう思う。あれは戦術の面でも、フレンチ・ディフェンスに対する3. Nd2のひとつの変化の結論だと思うしね。私は大盤解説会・昼のリアルタイム観戦コメントを書かせてもらったんだが、あの後夕方の、乃々君のつけたコメントを観て、少し味気なかったかと反省したよ。ちなみに朝を書いたのは留美さんだ」

 

あい「ところで、黒番を持って1. e4に対してe6と切り返すフレンチ・ディフェンスというのは、今はそこまでメジャーな返しではないのではないだろうか。……つまり、あの形をとるには、戦術的優位を、というよりも何かそれ以上の思い入れがあったのではないか、と推察するのだが……どうだろうか、二人は」

 

アナスタシア「ダー。アーニャが最初にあの戦型を選んだのは、プロヴァカーツシア……挑発の意味がありました。チェスは、頭に血が上ったら終わりですからね」

 

フレデリカ「フレンチ・ディフェンスはフレちゃんがフランスの血を引いている、フランスの誇りという以上に、実はメメから初めて教わったオープニングとしても思い出深かったからね~。最初にあれでしてやられた悔しさっていうのももちろんあって、だから願ったり叶ったりの再戦ではアレしかないかな!って思ってたの」

 

あい「ふむ……5ラウンドは黒番だったから、アーニャ君が初手でe4と突いてくれなければ、成立しなかったと思うんだが、そのときはどうするつもりだったのだい?」

 

フレデリカ「そのときはそのとき!でも、たとえば1. d4の突き出しにはf5と返して得意のダッチ・ディフェンスに持ち込んでもいいかなぁ、とか一応は考えてあったかな~?」

 

アナスタシア「先手を引いた、ということもあってアーニャは1. e4しか考えてませんでしたね。1. Nf3を少しやってみようかとも思いましたが、強く望まれての第5ラウンドということで、フレデリカの気持ちに応えたい、そんな思いがありました。そして、アーニャが1. e4と突けば、フレデリカはきっとe6と返してくる、そんな予感がありましたね」

 

あい「なるほど。……おっともうこんな時間か。楽しい話は、時間を忘れさせてしまうな。今日は来てくれてどうもありがとう」

 

アナスタシア「いえ、こちらこそ、です」

 

フレデリカ「フレちゃんも楽しかったよ~♪」

 

あい「連休中だが、みんなは予定はあるのかな?」

 

アナスタシア「アーニャは、これからユズと研究会に行ってきます」

 

フレデリカ「フレちゃんは~、周子チャンと映画を観て来る!」

 

あい「そうか。みんなもいろんな予定があるだろう。だが、怪我だけは気を付けるんだよ。……特に、箪笥の角なんかは要注意だ」

 

あい「そろそろエンディングだね。東郷あいのANN、本日のお相手は私、東郷あいと」

 

フレデリカ「宮本フレデリカと~?」

 

アナスタシア「アーニャ、アナスタシアでした」

 

あい「また会おう。この後、新企画が始まるらしいから、そちらも観て欲しいね」

 

(続く)