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愛とは、全人生をかけてアイドルにチェスを教えること。

フリルドスクエアと行く、奥深いチェスの旅。

第1回 工藤忍の実戦チェスチャレンジ[Sokolsky Opening]

 おはようございますっ!今日もお仕事、頑張ります!

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 なんか、落ち着かないな。うれしくって……こうしてお仕事もらったからには、しっかり頑張るよ!アタシって普通だけど……ちゃんと見ててね、頑張るからね!

 えーと、このコーナーでアタシがやるのは、これです!『工藤忍の実戦チェスチャレンジ』~、と題して、アタシがみんなをチェスの世界にご案内!……こーんな感じかな?

 

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ばっちりです

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 えへへ。アタシは、チェスの勉強は実戦以上のものって結局ないんじゃないかな、って思うんだよね。学校の勉強もサボれないし、アイドルのお仕事だって頑張りたい!そんな中で、どうやったら、将棋の経験値のあるあずきちゃんとか、誰より丁寧にチェスを組み立てる練習をしてる穂乃香ちゃんとか、柚ちゃんはあんまり練習してるところとか見ないけど……のみ込み早いし、すごいんだ!そういう人たちにも負けたくなくて、効率よくチェスの勉強ができるかなぁって思ったの。そしたら、やっぱり実戦形式のレッスンが一番かなぁって。だからアタシのレッスンスタイルは1に実戦、2に実戦!そんなアタシのレッスンから、我ながらちょっと惚れ惚れしちゃうようなゲームとか、うまくしてやられてすごく悔しかったけど、見返せば見返すほど上手いなぁって思わされちゃうようなゲームを紹介するよ。

 

 今日のゲームは、あずきちゃんとのレッスンからだよ。アタシが黒番!

 初手からの進行は、あずきちゃんの1ムーブ目b4!にアタシが戸惑うところからだね。

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(Figure.1 : 1. b4 まで。この形でもってSokolsky Openingと呼ばれている)

 この初手だけで名前がついていて、ソコルスキー・オープニングと呼ばれている形なんだって、感想戦あずきちゃんが言ってたよ。アタシもこれを初めて見た時は戸惑ったなぁ……。初手でクイーンサイドにスペース・アドバンテージをとりながらいきなりフィアンケットを目指してくるなんて、大胆な手だよね。組ませてからのピースの折衝で押し返すことは出来ても、このフィアンケット自体をダイレクトに咎めることができないのも、白としては主張なのかな。

 アタシは結構ためらってからe5と突いたよ。なんでためらったかっていうと、次の白の2. Bb2がいきなり当たっちゃうからね。でも、ここでeポーンを突くことで、実はb4のポーンにビショップを当てて味が良いかも?とその時は思ったんだ。

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(Fig.2 : 1. ~ e5 2. Bb2 まで)

 あずきちゃんはこの形に最近ハマっているんだって。なんでも、将棋の早石田って戦法に概念が似てる、って言ってたかな。角と桂馬で駒効率のいい駒組みを目指しながら大駒の利きで先攻するような戦法なのかな。まぁ、いいや。

 ここでアタシは困っちゃった。まず狙ったのはBxb4と出る手だけれど、これは当然白もBxe5と出てポーンを取り合ってくるよね。こんな形。

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(Fig.2.1 : 2. ~ Bxb4 3. Bxe5の変化)

 これは、駒割りこそ等価だけど、センターポーンを失って黒だけがひとえに悪い感じがする。だから代わりの手を考えたんだ。Bxd4に代えて、Nc6とe5のポーンを支えながら、次にb4の白ポーンを抜くのを目指すのはどうかなって。

 でもこの進行も、結局は黒だけがセンターポーンを失う展開になるんだよね。進行は2. ~ Nc6 3. b5 Nd4 4. e3で、この手が撤退勧告になってるからさ。ナイトが退けばすかさずBxe5が飛んでくるんだ。

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(Fig.2.2 : 2. ~ Nc6 3. b5 Nd4 4. e3の変化)

 なので、本譜ではアタシはf6とfポーンを突いてe5を支えるポーン・チェインを作って、Bb2のディアゴナルに対抗する手を選んだよ。

 ここで白の3ムーブ目はeポーンをぶつけるe4だったよ。局後の感想戦では、「ここでは3. b5と突き越して以下 ~ d5 4. e3 Be6 5. Nf3 Bd6と進むのもある」という話をしたなぁ。3. e4に対しては黒にはd5以外にBxd4の選択肢が生じるんだね。アタシはBxd4を選んだよ。白は4. Bc4だったね。まずはここまで進めようか。

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(Fig.3 : 2. ~ f6 3. e4 Bxd4 4. Bc4まで)

 ビショップを第4ランクに活用するBc4は自然な手だけれど、アタシはこのときこの手を軽視したね。知ってる様な手だからこそ、実戦じゃ気をつけなきゃいけないんだ。

 ここでアタシはNe7を読んでいたんだけど、それはクイーンを出るQh5+がチェックなんだよね。黒は第8ランクが寸詰まりだし、この形ではBc4のディアゴナルがキングサイドに相当プレッシャーをかけているよね。もしKf8と逃げたら即座にQf7#で頓死。受けるにはg6を強制されると、これはもうポーン・ストラクチャーがめちゃくちゃだね……。

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(Fig.3.1 : 4. ~ Ne7 5. Qh5+の局面)

  だから、アタシは予定変更でNc6と跳ねたんだけど、これもあまり良い手じゃなかったね。読み抜けって怖いよね。ミスがミスを連れてくるっていうか。この手の意味は、Qh5+のチェックにg6を突いた後、クイーンサイドが空いていればバランスを保ちながら0-0-0が狙えるんじゃないかってことを考えながらセンターにピースを送った手だよ。Bb2のディアゴナルを切っているe5のポーンに紐をつける意味もあるね。ここでもQh5+で形を決めさせるのはあったと思うんだけどね。あずきちゃんはアタシの意図を読んでf4とぶつけてきたんだ。これは取るよね。

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(Fig.4 : 4. ~ Nc6 5. f4 exf4 まで)

 次は今釣り出したポーンに当てて6. Nh3だよ。でも、Nxf4と取り込まれても駒割りは均衡しているし、e5~f6~g7のチェインでソコルスキー・オープニングがいち早く目指したBb2のディアゴナルは抑え込めているから、ここは先手をとろうと思ってNa5と跳ねるためにNge7キャスリングを用意して、あとはNxf4Na5と進んだよ。Na5でキングサイドを睨んでいるビショップを退かせば、キャスリングして局面が落ち着いて良いと思ってたんだ。思えばこの読みが、勝手読みだったんだね……。

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(Fig.5 : 6. Nh3 Nge7 7. Nxf4 Na5 まで)

 ここで時間を使ったあずきちゃんが着手。手はBf6!だったよ。

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(Fig.6 : 8. Bf6! まで)

 暴発かと思って一瞬目を疑って、すぐに気が付いた。こんな致命的な読み抜けがあったなんて、って悔しかったなぁ。これgxf6って取ったら以下Qh5+ Kf8 Qf7#でアタシの負け。ビショップをgポーンで取ることが強いられているから、Qh5+にg6って今度は出来ないんだよね。

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(Fig.6.1 : 8. ~ gxf6 9. Qh5+ Kf8 10. Qf7# まで。Bc4がいい仕事をしている)

 泣く泣くキャスリング権を手放しながらのRf8。一応ピンだけど、これはナイトをNh5と跳ねて受かるね。でもそれはこちらも読み筋。アタシがここでやりたかったことは、ナイトをNh5と呼ぶことで、Qh5+を消しているんだ。将棋だったら、敵が打ちたいところに自分の持ち駒埋めたりできるのにね。Qh5+を消してから、Nxc4とアタシのキングサイドを狙い続ける働き者のビショップに退場してもらう。次のNxg7は見えているけどアタシにはどうしようもない……。

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(Fig.7 : 8. ~ Rf8 9. Nh5 Nxc4 10. Nxg7+ まで)

 この手にはKf7と逃げる一手だね。ここであずきちゃんの将棋のセンスが光ったんだ。彼女の手は0-0、キャスリングだよ。これで黒からはあずキングにチェックを掛けられない上に、fファイルにルークを足して先手勝勢だね。

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(Fig.8 : 10. ~ Kf7 11. 0-0 まで)

 次にfファイルのルークを利かせたディスカバード・アタックが目に見えているから、これも逃げの一手だよ。アタシはKg8と落ちた。Ke6にはQg4+が、Kg6にはQh5#があるからね。落ちる手にはQh5が満を持しての進撃て感じだね……。アタシとしては、クイーンが抑え込まれていると受けようがないので、Rxf6とビショップを払って、Rxf6の取り返しにNg6と相手のクイーンの利きを塞ぎながらこちらのクイーンを通して受けの体勢を目指すよ。

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(Fig.9 : 11. ~ Kg8 12. Qh5 Rxf6 13. Rxf6 Ng6 まで)

 と、粘ってみるものも一手一手の寄り、って感じだね。14. Rxg6 hxg6 15. Qxg6 Kh8と逃げて追い詰められて。

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(Fig.10 : 14. Rxg6 hxg6 15. Qxg6 Kh8 まで)

 次の16. Ne8が当然の一手ながら良い手だよね!クイーンの利きを停めながら次にQg7#を見せてるよ。だからこちらはQe7だけど、Nf6でどう足掻いてもチェックメイトがかかる状態に。いやー、ボッコボコだね……

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(Fig.11 : 16. Ne8 Qe7 17. Nf6 1-0 まで投了図)

 投了図では、クイーンひとつでは次のQh7とQg8のスレット(脅し)が同時には受けられないので、必死だね。

 

 感想戦では、黒の4ムーブ目が緩いというような指摘もあったなぁ。あの時点でBf6の強襲の筋が読めていれば、手堅くQe7とクイーン・サイドにキングの退路を作りながらセンターにメジャーピースが展開できて一局、って感じだったみたいだね。今度はその形からやってみたいな。

 やっぱり、実戦から得るものって、大きいよね!

 

 えーと、じゃこれでアタシの紹介するゲームはおしまいだけど……。

 

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最後におたよりを読んでください。質問が来てます

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 んーと、これがメールだね。どれどれ……「忍ちゃんにうさぎの形に剥かれたいP」さんからだよ。それは痛いんじゃないかなって思うよ?

 

『忍ちゃんに質問です。どうしてチェスにハマったんですか?あと、好きなピースを教えてください』

 

 んー、チェスのピースって、お菓子のおまけみたいな可愛さがあると思わない?最初はそんな感じの印象だったな。あと、親がね、将棋の先崎学さんや行方尚史さんの大ファンで、よく家で見てたんだよね。先ちゃん、とかナメちゃん、とか呼んでさ。ふたりとも、青森県が誇る将棋棋士だよー!アタシは将棋はよくわからなかったけど、何かハマれるボードゲームを趣味にするのって、いいなぁって思っててさ。

 そんなこと思いながら、でもなんとなく自分で見つけて始める気分にもならなくて。そうしたら、お仕事でチェスのドラマを撮る、っていうのを頂いて!もー、アタシはチェスに出逢うために上京してきたのかもしれない!とか……冗談だよ?

 好きなピース……かぁ、形はルークがかっこいいよね!でも、アタシはポーンが好きだなぁ、なんかアタシみたいで。アタシも、こつこつ、こつこつ。プロモーション目指して頑張るよ!

こーんな感じでいいかな?

 

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最後に締めの言葉をお願いします

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 穂乃香ちゃんが教えてくれて、アタシの励みになっている言葉があるんだ。カパブランカ、っていう伝説の棋士の言葉なんだけどね。

――勝った局より負けた局の方から多く学べます。良い棋士になるには何百回と負けなくてはいけません。

 アタシ、ときどき思うんだ。人生ってチェスに似てるなぁって。どっちもね、努力し続けていけば、繋がっていくものもあるって信じてるんだ。そんなアタシ、応援してよ!工藤忍でした。

 

(続く)