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愛とは、全人生をかけてアイドルにチェスを教えること。

フリルドスクエアと行く、奥深いチェスの旅。

喜多見柚の名局好局つまみ食い[アダムス・アタック/Mirai Aoshima v.s. Arthur Guo, Dec. 30, 2016, 26th North American Open]

 おはよーございますー、柚だよ!

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 えー、なんだっけ。そうそう、『喜多見柚の気になる対局ユル解説』の時間だよ!あれ?『おてんば解説』だっけ?へへっ、まぁそんな感じのヤツだよー。

 このコーナーでは、アタシ、喜多見柚が気になったゲームを紹介するよ。じゃ早速、今日紹介するのはこちr……

 

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流石に尺余るんでもうすこしなんか言ってください

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 あっはっは、それもそうかー。えーと、フリルドスクエアがお送りするチェスのコーナーで、アタシが受け持つのが、なんだっけー、そうそう、『喜多見柚の名局好局つまみ食い』、の企画だよ。みんなはもうホノカちゃんの第一回目を見たのかな?どうなんだろ、これ収録してるときにはもう流れてるのかなー。

 

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な、生放送ですし……

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 あ、そういう設定なのね、おっけー♪そんな感じで、不肖ながらこの喜多見柚、頑張ってやっていきますのでよろしくネ!

 初回だし、アタシとチェスの出逢いとか話しちゃう?結構運命的だと思うんだよねー……って、フリスクがどうしてチェス始めたのか、みんなもう知ってるか!じゃあいいね!取り敢えず、今のアタシにとっては、こんな面白いコト、そうそうないよネ!ってくらいチェスにハマってるんだよね。

 

 忍チャンは超実戦派で、あずきチャンは将棋と上手いこと比べながら色々やってて、ホノカちゃんは序盤からすごく定跡研究をしてるんだ、みんなすごいよね!アタシ?うん、それで、アタシが普段どんなふうにして、チェスの世界を覗き込んでは感激しているか、みんなも知りたいよねー?アタシは古いもの新しいもの問わず、好きだなぁって思った棋譜を繰り返し並べるのが好き!

 なかにはもう今は指されなくなっちゃったような進行のゲームなんかもあって、忍チャンなんかには何でそんなの並べるのー、なんて聞かれるけど、同じ進行が出て来なくても、どういう意図で、どんな流れを感じて、アタシ以外の誰かがその一手を選んだのか、ってことにキョーミがあるんだ。そのときは、喜多見柚以外の誰かと、すごく深くて暗いところで強烈に繋がれる気がする!これって奇跡みたいなもんだよね!

 だから、アタシが何かやって、って言われて真っ先に思いついたのがこのスタイルだったんだ!全部を解説するんじゃなくて、ホントにあったゲームの中から気になる進行や手を切り取って紹介するコーナー、というのが本コーナーだよ!

 

 そろそろいいかナ?今日紹介するのはこっちらー!

【Mirai Aoshima v.s. Arthur Guo, Dec. 30, 2016, 26th North American Open】

 白番は現在日本国内では3位につけている、青嶋未来サン!青嶋サンは本業は将棋棋士だよ!将棋棋士でチェス……何かを思い出すよねっ。そう、羽生善治サン!青嶋サンは、羽生サンがチェスをやっているのを見て興味を抱いた、って、アクティブプレーヤーとしては現在国内3位の高レートなのに、初めてそんなに時間が経ってないんだよ!すごいね~。

 対する黒番はアメリカ国籍のFIDEマスター、Arthur Guoサンだね。何がすごいかって、レートは2100オーバー、なんと御年11歳だよ!ちなみに、アメリカ国内の12歳以下のチェスプレイヤーの中では7位とずば抜けた成績の、将来性バツグンボーイだよ。

 

  さてさて、進行を追ってみようか!

 まず、オープニングは青嶋サンの1.  e4に黒がc5と受けてセミ・オープン・ゲームシシリアン・ディフェンスの出だしになったよ。ウチの事務所のページに、シシリアン・ディフェンスの解説が載ってたはず!気になったらそちらも観てみてねー。

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 (Fig.1 1.  e4  c5まで)

 ちなみに、青嶋サンは公式戦国際試合で直近10ゲームのうち実に5ゲームがシシリアン・ディフェンスの展開になっているね!お気に入りなのかな?ちなみに穂乃香チャンのお気に入りはブタペスト・ディフェンスだよー。

 

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よかったら今度解説してくださいね

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 ……え?……喜多見やんないよ。ホノカちゃんやりなよ。

 って感じで、以下の進行はオープン・シシリアンのメインラインを辿る2.  Nf3  d6  3.d4  cd  4. Nxd4  Nf6  5. Nc3 となったよ。

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(Fig.2  5.Nc3まで。オープン・シシリアンの定跡進行)

 一手一手に意味があるのだけれど、それは前に別の人がやったし、今回アタシがやることは手の概念を説明するんじゃなくて、ファンのみんなと一緒にアタシの盛り上がりポイントで盛り上がる!ってことだから!みんなと盛り上がれたら最高だなって♪ここまではさらっと行くけど許してね♪

 この局面(Fig.2)は、分岐のポイントだね。ここで11歳の俊才が採った作戦は、これだぁーっ!

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(Fig.3 5. ~ a6まで)

 黒がa6とポーンを突いて、ナイドルフ・ヴァリエーションに突入したよ!いや~、シブいねぇ……この手は将来的にf1のビショップがBb5と飛び出すような手を消しているよ。この局面も更に細かく分岐のポイントになるね。6.  Bg5と飛び出して、以下e6  7.  f4  Qb6  8.Qd2  Qxb2と進むのも一例だね。この進行は、ポイズンド・ポーン・ヴァリエーションと呼ばれているよ。『毒』のポイズンだね。伝説のプレイヤー・ボビー=フィッシャーが得意とした展開として有名だけど、使いやすいかは別物って感じ!

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(Fig.3.1 Poisoned Pawn Variationの進行:8. ~ Qxb2まで)

 もうひとつ、面白い変化のラインがあってね。それが今回紹介する、6.  h3からのヴァリエーションだよっ。ナイドルフ・ヴァリエーションを選んだ黒に対して、先手からしかけるアダムス・アタックと呼ばれる形だね!

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(Fig.4 Adams Attack:6.  h3まで)

 本譜の進行はこちら。シシリアン・ディフェンスは上位のゲームではけっこー見る形なんだよね。それで、このアダムス・アタックも結構見かける様になってきたんだけど、アタシはまだ日本でちゃんと説明どころか紹介されているメディアを知らないナァ。ま、だからこのゲームを持ってきたんだけどね!ふふ、本邦初公開だったりしたら面白いよねっ!ま、アタシが知らないだけかもしれないけどね……。

 この手は、黒のBg4がナイトの紐付きで、いつでもこちらのクイーンをいぢめられる、というのを防いでいるんだよー。こちらからBc4と出る手は、クイーンサイド・キャスリングをちらつかせながら、いつでもBh2と引いて来れるのもなかなかだね。ここのビショップはちょっと咎めづらい気がするなぁ。もっとも、この形なら、黒がNc6とぶつけて来るのを見越してBe3と浮く方がいろいろと味が良いと思うけどね!積極的に2つのビショップがクイーンサイドを狙ってくる形になるから、黒としては穏やかじゃなくなるカンジ。これがアダムス・アタックの狙いのひとつだよー。次にQd3とかって浮いてあげれば、白はクイーンサイド・キャスリングの権利を手に入れるしね!

 また、h3は次にg4の突き出しがフィアンケットを組みながらサイドにポーン・チェインを作る手の基礎にもなっているよ。このロング・ディアゴナルのビショップはすごく働きが良いね!白はナイト2つも中央に展開できていて、とてもアクティブなピースが多いという主張があるんだよー。

 これを咎めに行くような手としては、6. ~ e6と 6. ~ e5が考えられるね。どちらもd5と突き出すポーンとの連結の足がかりなんだけど、これでポーン・チェインないしポーン・ファランクスでディアゴナルを迎撃しよう、って魂胆だよっ。ただ、じゅうぶん白はやれると思うな。ふふ、思うな、っていうのは柚の感想でありながらチェス界の感想みたいなところもあるんだよ。まだまだ謎多き変化だからね~。

 最近これよりアクティヴなのが、黒はe5~h5と構えるシステムだね。これもやっぱりg4のフィアンケットに反抗する手ながら、e2のナイトがNg3と右翼に陣を張る手なんかも先んじて咎める手だよ!(c.f.Fig.5)

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(Fig.5 e5~h5のシステム)

 だけどやっぱり難解なゲーム展開になりやすいから、最近は6. ~ g6と突いてドラゴン・ヴァリエーションの変化に持って行くような落ち着いた差し回しがポピュラーな気がするなぁ。これはお互いぼんやりと端のポーンを一歩進めるという不思議な展開が生む、まだまだいろんな手が眠っていそうな鉱脈だよ!最近結構また流行ってる感じがするから、楽しそーだなーと思ったらプレイしてみるのもいいかも!柚は好きじゃないな!

 今回はe6を突いたね……と、こんなところでお時間か、しょーがないね。

 最後に棋譜(※1)を載せておくので、みんなもぜひぜひ並べてみてね!アタシが今日やりたかったのは、アダムス・アタックをみんなに知ってもらうことだったんだ!あと、超有望株の青嶋サンの紹介と、こーんなどろどろした変化に飛び込んだ11歳の天才少年!いやー……奥が深い世界だよねー、柚なんてまだまだだ。まだ日本からはGMも出ていないし、世界中でプレイされているわりには、この国にいると将棋とか囲碁のがポピュラーな気がするくらい、全然根付いていないけれど、こうやってアタシたちが頑張って、それで少しずつチェスに興味を持つ人が増えてくれたらナァと、そんなことを思ってまーす。

 

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最後に締めの言葉をお願いします

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 それみんなに振るんだね……うーん、うーん?……へへっ、そうだ、思いついた!

 じゃ、青嶋サンの言葉を引用しておわろっか!

――ボーカロイドが好きです。

  みんな、またねっ!喜多見柚でした!

 

(続く)

 

※1……

Mirai Aoshima v.s. Arthur Guo, Dec. 30, 2016, Las Vegas, 26th North American Open

1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 a6 6. h3 e6 7. g4 h6 8. Bg2 Be7 9. Be3 Nc6 10. Qd3 Nxd4 11. Bxd4 O-O 12. O-O-O e5 13. Be3 Be6 14. Kb1 b5 15. Nd5 Nxd5 16. exd5 Bd7 17. f4 Bf6 18. Rhg1 Re8 19. Be4 exf4 20. Bxf4 Be5 21. Bc1 Qh4 22. g5 Qxh3 23. Be3 f5 24. gxf6 Bxf6 25. Rdf1 Bg5 26. Bh7+ Kh8 27. Bxg5 hxg5 28. Rh1 Re3 29. Qd2 Rf3 30. Rc1 Kxh7 31. Rxh3+ Bxh3 32. Qxg5 Raf8 33. b3 R8f6 34. Kb2 R3f5 35. Qh4+ Rh6 36. Qe4 Kg8 37. Rg1 Rff6 38. Qe7 Rf7 39. Qd8+ Rf8 40. Qg5 Rh7 41. Qe7 Bf5 42. Qxd6 g6 43. Qe5 Rg7 44. d6 Rc8 45. Rg2 Rd8 46. Re2 Rc8 47. Qd5+ Kf8 48. Rh2 Rf7 49. Qe5 Rg7 50. Rh8+ 1-0